蜘蛛
蜘蛛 

      作 こぶたにのる

      登場人物

      A   蜘蛛 
          売れない童話作家なのかもしれない
      B   蜘蛛 
          Aの同窓
          本当は童話作家になりたかったのかもしれない
          就職してAよりは収入はいいのかもしれないが
          なぜかAが妬ましい
          Aよりは優位に立っている成功していると思いたい
          それはただ単に自由に生きているAが羨ましいからなのか
          自分がなりたかった童話作家になっているからなのかわからないが 
      C   蝶
          Aの恋人なのかもしれない 純粋なAが好きなのだと思う


      1


A   ある日 蜘蛛にちらちらと一つの影が落ちました
    空を見上げるとどうしようもなく 高い青空に お日様が輝いています
    そしてその光の間をぬって一匹の青い蝶が飛んでいました
    その青い翅はお日様を浴びて羽ばたくたびにキラキラと輝き
    蜘蛛は思わず目を奪われしまいました
    蜘蛛の八つの目は他の者を見ることもせず
    ただ 蝶を見るだけに存在していました
    八本の足はぴたりと動きを止め
    少しでもこの場所から動くことを拒みました
    そして 次の日 また蝶は現れて 蜘蛛の周りをひらひらと飛び
    そして 蜘蛛はどうしようもなくそれに胸をときめかせていました
    次の日も 次の日も 蜘蛛は思っていました


      2


      B ノートを見ている

B  ふーん それで?

      B ノートをAに渡す(返す)

A   何
B   それで 蜘蛛はどうなるの
A   さあ じーと 見てるだけかな
B   そうなの
A   うん
B   なさけないね
A   そうかな
B   そうだよ ふーと 糸を吹きかけてさ
    捕まえてしまえばいいんだよ
A   でも 蜘蛛は糸なんかはかないし
B   え はかないの
A   そんなことはできないないよ
    できてもしないと思う
B   どうして
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