吸血恋話
cast

ジョン・・・♂
ペーター・・・♂
フリッツ・・・♀
千春・・・♀
キング・キリー・・・♂




    暗い雰囲気の洋館のロビー。そこで三人が卓を囲んでいる。

ジョン 「さて、今回集まってもらったのは他でもない」
フリッツ「何かしら? 急に呼び出したりして……。特別な議題があるとも思えないのだけど……」
ペーター「ああ、俺も別段話し合うことなんざねえぞ」
ジョン 「そんなことはないだろう。良く考えてみろ」

     ペーター、フリッツ、考える。

ペーター「ジョン……」
ジョン 「なんだペーター」
ペーター「このトマトジュース、100%じゃないだろ」
ジョン 「どーでもいいだろんなこと!」
フリッツ「ジョン……」
ジョン 「なんだフリッツ」
フリッツ「ほらここ……ニキビが……」
ジョン 「知るか! んなこと議題に出すわけないだろお!」

     ペーター、フリッツ、再び考える。

ジョン 「ホントにわからないのか?」
フリッツ「ええ」
ペーター「わかんね」
ジョン 「ったくお前らは……。ペーター」
ペーター「んあ?」
ジョン 「お前、最後に人間の血、吸ったのいつだ?」
ペーター「なんだよ藪から棒に」
ジョン 「いいから答えろ」
ペーター「あー……確か二年前だったかな。龍大に来てた献血車に忍び込んでこっそりと」
ジョン 「んなことやってたのかよ……。フリッツは?」
フリッツ「あたし? あたしは毎晩飲んでるわよ」
ペーター「マジかよ。いいな」
フリッツ「通販で買ってるすっぽんの血だけど。お肌にいいの」
ジョン 「……すっぽんはカウントしない」
フリッツ「え〜」
ペーター「はっは、残念だったな」
ジョン 「はあ〜……。ったくお前らは……。まあ、これで俺の言いたいことはわかっただろ」
ペーター「全然?」
ジョン 「っ…………」

     ジョン、フリッツを見る。

フリッツ「いや、この馬鹿と一緒にしないで。あたしはなんとなく察しがつくわよ」
ペーター「なにい! てめフリッツ、抜け駆けしてんじゃねえよ! 馬鹿が俺一人になるだろが!」
フリッツ「ちょっ、汚っ! 唾とんでる唾っ!」
ジョン 「……馬鹿は放っておいて話を進めるぞ」
フリッツ「え、ええ」
ペーター「おい、放っとくな相棒。絶対役に立つから仲間に入れてくれ」
ジョン 「……とにかく。俺が言いたいのは……吸血鬼ともあろう者が毎晩こうやって、トマトジュースで喉を潤すってのはどーなんだ? って話だ」
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