君の瞳に恋してる
『君の瞳に恋してる』
出演
さゆり
ひとみ
キョーコ先生
猿山君
ACT 1 さゆりとひとみ
そこは、校舎の屋上。
遠くを見つめる一人の少女さゆり。
さゆり「私は孤独。
それはまるで、駆け込み乗車に失敗したサラリーマンのように。
それはまるで、タクシーに乗車拒否されたおばちゃんのように。
私は孤独。るるる、らりりらら。私は孤独。・・・・はあ、孤独だわ。」
そこへ友人のひとみがやってくる。
ひとみ「あ、ここにいた。」
さゆり「ひとみ」
ひとみ「どうしたの、一人で佇んじゃって・・・」
さゆり「ううん、別に・・・」
ひとみ「またあ、よーし、私が当ててあげる。ひとみレーダ始動、ひとみレーダ始動。ぶいーん、ぶいーん。」
さゆり「や、やめて、ひとみ。」
さゆり、恥ずかしかった。
ひとみ「なによー、当てられないじゃない。」
さゆり「そんな当てなくてもいいわよ。」
ひとみ「じゃあ、何してたのよ。」
さゆり「うーんとね、私たちもうすぐ卒業じゃない。卒業したらどうなるか・・・なんて考えてたら、何となくね。」
ひとみ「またあ、柄にもなく。」
さゆり「でもさ、考えはじめると切りがないのよ。」
ひとみ「こら、さゆり。考え過ぎは体に悪いわよ。」
さゆり「そうは言ってもね。」
ひとみ「さゆりに足りないものが一つ。」
さゆり「え?」
ひとみ「さゆりは、もっと青春時代を謳歌しなくちゃ。」
さゆり「たとえば?」
ひとみ「そうねえ、例えば・・・・恋をするとか・・・きゃ!」
さゆり「そういうひとみだって、恋愛なんて関係ないくせに。」
ひとみ「ぐふっ。」
ひとみ、変な笑い。
さゆり「・・・なによ、ひとみ・・・あー、あんたもしかして。」
ひとみ「ぐふっ。」
さゆり「なによ、ちょっと白状しなさいよ。」
ひとみ「発表します!じつは・・・ひとみ・・・恋しちゃった。」
さゆり「え、だれ?だれ?」
ひとみ「えー・・・それは・・・」
さゆり「それは?」
ひとみ「ひ・み・つ」
さゆり「そんなんじゃ、全然わかんないじゃない。」
ひとみ「えー。何でわかんないかなあ。さゆりって鈍感ねえ。」
さゆり「いいわよ、それじゃ、勝手にすれば」
ひとみ「あ、ごめん、さゆり、ごめん。」
さゆり「わかればいいわよ。で、どうしたの?」
ひとみ「え?」
さゆり「何か、行動は起こしたのって聞いてるの。」
ひとみ「じ、じつは・・・」
手紙を出す。
さゆり「なに?『私、あなたに恋しました・・・』何これ、ラブレター?」
ひとみ、うなづく。
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