ＢＡＲ「さびしがりや」
「ＢＡＲ淋しがり屋 舞台バージョン」 大沢ケイト
○登場人物
リエ ……（株）タカギシステムズの入社三年目ＯＬ（女子大卒・２４歳）
カメダ ……（株）タカギシステムズの五年目ＯＬ（？・２６歳）
○時
七夕の日。
○場所
ある都会のマンションの一室。
リエが大学時代から一人暮らしする部屋。
女性らしいインテリアでまとめられたワンルーム。
ワンルームのリエの部屋。
雑誌入れや、小テーブル、ゴミ箱などが置かれている。
カメダがリエの肩を借りて足を引きずりながら、部屋に入ってくる。
カメダ あいたたたた。あいたたたたた。もっとゆっくり。
リエ 大丈夫ですか。
カメダ （座って）ふう〜。ああ、助かった。ああ、助かった。
リエ どうしたんですか、一体。
カメダ いや、それがさ、笑っちゃうのよ。夜でしょ、暗いでしょ、ちょっと怖くてさあ、
道の真ん中歩いてたら、車道だったみたいでさあ。
リエ どこ轢かれたんですか。
カメダ ここ。
リエ どれ。
カメダ いたたたた。もっと優しくしてーん。
リエ えらいこっちゃ。明日会社無理じゃないですか。
カメダ でも私が行かないと会社の皆ががっかりするから。
リエ ……え？
カメダ 人気者はつらいわ〜。
リエ 病院行った方がいいと思いますよ、いろんな意味で。
カメダ そうね。たまには医者にもてるのも悪くないわね。ねね、車に轢かれたことある？
リエ ないです。
カメダ 人間ってさ、死ぬ間際、今までの人生を一瞬にして見るっていうじゃない？
リエ 言いますね。
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