箱舟コロッケ
箱舟コロッケ


      ヤスシ  ― 人間の男
      ノリコ  ― 人間の女
      宇宙人 ― 宇宙人
      隊長   ― 宇宙人の隊長
      博士   ― SFオタクの変な人


    第1場(宇宙人、隊長)

          宇宙船の操縦席。
          コンピューターっぽい効果音。
          宇宙人、ハンドルを握っている。
          隊長、その後ろに立っている。

宇宙人  隊長、もうすぐこの銀河系を抜けます。
隊長   やれやれ、思ったより長くかかってしまったな。
宇宙人  あ、あそこに見えるのが目的地の地球ですよ、きっと。
隊長   そのようだな。レーダーによると「箱舟」はあの星にあるようだ。
宇宙人  綺麗ですねー。
隊長   こら、遊びに来てるんじゃないんだぞ。
宇宙人  解ってますって。我々の任務は地球に落下した超小型爆弾、通称「箱舟」を回収する
     こと。
隊長   うむ。「箱舟」は強い電磁波を浴びると爆発する。そうなると地球程度の惑星ならこ
     っぱみじんに吹っ飛んでしまうだろうな。
宇宙人  ひゃー、恐ろしい。
隊長   まあ強い電磁波なんて日常ではそうそうお目にかかれまい。そう急がなくても「箱舟」
     が爆発することはないだろう。
宇宙人  だと良いんですがね……ちなみにその「箱舟」って、どんな形してるんですか?
隊長   私も詳しくは知らないが、なんでも地球の「コロッケ」という食べ物によく似ている
     らしい。
宇宙人  へー……まあ、地球もすぐそこですし、とりあえず一息つけるって感じですね。
隊長   だな。おい、前、隕石。

          宇宙人、気づいて大きくハンドルを切るが、壊れてハンドルがはずれる。
          宇宙人、驚きながら

宇宙人  隊長……
隊長   あわてるな!と、とりあえずブレーキだ!
宇宙人  はい!

          宇宙人、足元の何かを踏む

隊長   ばかっ!それはアクセル!
宇宙人  ええっ!あ、あの、その……
隊長   ええいもう良い!貸せ!
宇宙人  はい!

          宇宙人、ハンドルを隊長に渡す。

隊長   違う!

          隊長、ハンドルを突き返し数歩前に出て、マイクに向かう。
          衝突音、警報音が鳴る。

隊長   緊急事態発生、直ちに全操縦を人工知能に変更。人工知能、直ちに地球へ緊急
     着陸せよ。

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