心ウツロウ、空ノロウ
椎名空
生田心太朗
幕
廃校の屋上、心太朗が昼寝をしている
空が入ってくる。手に手紙(遺書)を持ち、辺りをキョロキョロと見わたす
手紙を確認して封をする。(心太朗には気付かない)
空 「よし」
空、前の方へ移動しようとすると、心太朗でつまずく。
空 「あ」
心太朗「ぐっ」
空、しばし心太朗をつついたりして反応を見る。 反応なし。
心太朗、むくりと起きあがり寝ぼけ眼で辺りを見通す。空びくっとする
心太郎「(空に気付き)…おはようございます」
空 「…おはようございます」
心太朗「いいお天気ですね」
空 「…そうですね」
心太朗「明日もいいお天気でしょうね」
空 「…そうでしょうね」
心太朗「明後日はわかりませんね」
空 「………」
心太朗「さて」
心太朗立ちあがりラジオ体操を始める。
空 「…何やってるんですか?」
心太朗「見てわかりませんか?目覚めのラジオ体操簡易版」
空 「はあ…」
心太朗ラジオ体操をしている。空は呆然とそれを見ている。
心太朗「よし、終わり。それでは」
心太朗元いた場所に戻り
心太朗「おやすみなさい」
空 「ちょっと!?」
空、心太朗の昼寝を阻止する
心太朗「なんですか」
空 「さっきまでのラジオ体操は何だったの?」
心太朗「だから目覚めのラジオ体操」
空 「じゃあなんでまた寝るの!?」
心太朗「二度寝」
空 「ラジオ体操の必要性は!?」
心太朗「一度きっちり目を覚ましてからもう一度眠る。これが正しい二度寝の作法です」
空 「そんなの聞いたことないわよ」
心太朗「僕しかやってませんし」
空 「だったら仕方がない…ってそういうことでもないでしょ」
心太朗「……さっきからやたらとつっかかってきてますけど、貴女何でここにいるんですか?ここはもうとっくに廃校になってますよ」
空 「あ、あなたの方こそ」
心太朗「僕は昼寝をしていただけですよ。やましいことはこれぽっちもしていません。貴女の方はどうなんですか?」
空 「わ、私は…その。…そう、私はここの卒業生で近くを通りがかったら懐くてつい…」
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