HELP !!
   HELP!!
 
 
キャスト
 
 神谷 カミヤ
 市川 イチカワ
 前田 マエダ
 亀山 カメヤマ
 田路 トウジ
 
 竹崎 タケザキ
 岡村 オカムラ
 
 武田 タケダ
 
 
 舞台上。一台の乗用車(椅子を四つ並べたもの)がある。
 市川、運転席に座っている。ひどく笑っている。
 竹崎、助手席に座っている。うな垂れ、その表情は見えない。
 神谷、後部座席に座っている。

市川 「……もう、ホント面白いんだって。見てごらん、一回」
神谷 「……うん」
市川 「それに、渋いよー。あの独特のヘアスタイル?」
神谷 「うん」
市川 「面白くもあり、かっこよくもある。ああいう人のことを男って言うんだよね、きっと」
神谷 「あのさ」
市川 「ん?」

 神谷、竹崎を指差す。
 市川、視線を向ける。

市川 「あ。忘れてた!」
神谷 「やっぱり」
市川 「で、で、だからさ、どうしよう?」
神谷 「だから、どうしてこんなことになってるのって聞いてるんじゃない」
市川 「そうだよね。まず、説明しないとね。あの、どこから言えばいい?」
神谷 「最初っから話してよって言ってるでしょ」
市川 「まず、その、(竹崎を指差す)死んでるってことは話したっけ?」
神谷 「うん」
市川 「何で死んだかってことも話したっけ?」
神谷 「ううん」
市川 「何であんたに相談に来たかってことは話したっけ?」
神谷 「ううん」
市川 「私、一人鍋が趣味だって事知ってた?」
神谷 「ううん」
市川 「えーと……じゃあ、どうして彼が死んじゃったかってことから話すね」
神谷 「最後の質問いらないよね」
市川 「まあ、その、彼。私の恋人、的な」
神谷 「うん」
市川 「まだ二ヶ月くらいだったんだけどね」
神谷 「うん、どうして殺したの?」
市川 「あれ? 私が殺しちゃったって事話したっけ?」
神谷 「考えれば大体わかるでしょ」
市川 「うん……そうなの。私が……いや、私じゃないわ。あれは、神の悪戯。じゃなきゃあんなにも偶然が重なって、あんな悲劇が起こるはずないもの」
神谷 「偶然って?」
市川 「そう、あれは……今から三時間くらい前……」

 フェードアウト。
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