木のある宿屋
木のある宿屋
キャスト
若者
主人
少女
木霊
-幕-
冬の季節-東京よりもはるか北の地-昔話に出てくるような民宿
舞台には木を置く台があり、その上に木霊がいる
舞台中央に主人がいる
主人 山の奥の更に奥、そこに一軒の宿屋がありました。宿屋には主人が一人、そして木が一本。昔はもう少しにぎやかだったんですがね。あれからもう何年も経ちました。それにしても・・・いやあ、今日も寒いですね。でも、こんな日はきっと客がやってくるんですよ。なぜかって?そりゃ寒いからですよ。
若者がやってくる気配
主人 ほら、耳をすませてください、足音が聞こえてきませんか?この宿屋に来る客はいつも独りなんです。
戸が叩かれる音
主人 やってきましたよ。
もう一度、戸を叩く音がする
主人 はいはい、ちょっと待ってくださいね。
主人、玄関に行こうとするが途中で部屋に入りラジオ体操の曲をかけて、去る
ラジオ体操の曲に気づき目を覚ます木霊、
木霊はラジオ体操を始める
主人が若者を連れてやってくる
主人 こちらにどうぞ。置いてあるものは自由に使って構いません。
若者 ・・・ラジオ体操ですか。
主人 ええ、ほらよく言うじゃないですか。植物に音楽を聞かせるのは良いことだってねえ。
若者 ああ、まあ、そう言いますけど、
主人 どうされました?
若者 いや、普通はクラシックとかですよね。
主人 音楽なら何でも同じですよ。
若者 そうですか?
主人、ラジオ体操の曲を止める
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