迷宮
〜ミノタウロス〜
迷宮 〜ミノタウロス〜 βver.0.8
<人獣の契りpart.2として…> 作:白神貴士
[登場人物]
テセウス
アリアドネ
ミノタウロ
パシパエ(他の役と兼ねる)
ダイダロス(ナレーター)
下女
生け贄の女
生け贄の男
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#1
受付横にダイダロスがペンとノートを持っている。
【ダイダロス】
「あなたが最も謎だと思う『言葉』を私に売ってください…」
コインと引き換えに『言葉』を書き写す。
開演前、受付を終えたお客様に一列に並んで戴き、ペンライトを配る。
ダイダロス、先頭に立ってドアを開ける。
【ダイダロス】
「お待たせいたしました…想像力の迷宮へと旅立つといたしましょう。
ミノス王に命じられて、私=ダイダロスが作ったこの迷宮の壁は言葉で出来ていて、
人を迷わせ、堂々巡りをさせて、どこから入ったのか…どこから出て行けば良いのか…
大切な事何もかもを、逆しまに混乱させてしまうのです…それでは参ります。
足下にお気を付け下さい。」
観客を手招きしながら暗闇へと入って行く。
闇にギリシャ文字が光る中、一列になって光の列が続く。
【ダイダロス】
「間もなく物語がやって参ります。皆様はそれぞれ思い思いの場所へ身を潜め、
お手にされたその光…皆様の好奇心でこの伝説の闇を照らし、見届けて下さいませ。」
ダイダロス姿を消す。
ダイダロスの声だけが響く。
【ダイダロス】
「その昔、神々の王、ゼウスはフェニキアの王女エウロバの美しさに魅せられました。
白い牡牛に姿を変えたゼウスはエウロパを背に載せたまま地中海を渡って
クレタ島へと渡り、そこでエウロパに産ませた最初の息子が今のミノス王、
クレタ島の支配者でございます。
そもそも三兄弟の中でミノスただ1人が王となったのも
海原をしろしめす神=ポセイドンの祭りで
ミノスが願った美しき白い牡牛が海を割って現れたるが故、
これを神の思し召し、王として選ばれたる印と言い立てての事…が、しかし、
真実を明かせば、ミノスはポセイドンと事前に盟約をし、
後に生贄としてお返しするからと、一番美しい牡牛を借りただけのこと。
しかし…
ミノスはいざ王座につくと、この美しい牡牛を返すのが惜しくなったのでございます。
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