ハイドロニウムの空の下
「ハイドロニウムの空の下」
作 結城 翼
★登場人物
いちご・・・・
カヲル・・・・
カモメ・・・・
うさぎ・・・・
#1プロローグ・・プラネタリウム
満天の星の下。プラネタリウム。
いすが三つある。(いすはBOX型。後方が開いていてそこにいろいろ小物を隠すことができればなおよい)
いすに座って一人見上げている、おばさんスタイルのカヲル。
カヲル:あれはアンタレス。これはオリオン、あそこはカシオペア、それは蛇使い座、双子座、南十字星、・・・・
弾むような声は、15才のそれだ。ギャップが激しい。
そばに立ってそれをじっとみているいちご。
カヲル:いちご:、あれなんだ?
いちご:カシオペアかな。
カヲル:ぶーっ、オリオンだよ。ちっとは覚えなよ。いちご:。
いちご:うん。オリオンね。わかった。覚えとく。
カヲル:忘れちゃだめよ。
また、星を見続ける。
いちご:一月前、母は十五歳になりました。・・母は疲れるとよく、プラネタリウムにきてました。何でも、昔よく父とここでデートをし たそうです。父は5年前、はねられそうになった子供を助けようとして、あっけなく車にはねられて死にました。酔っぱらい運転 でおまけに保険にも入ってない若者の暴走運転です。殺されたと一緒です。母はのんきな専業主婦で、特技も資格もありません。 わずかな生命保険のお金は、あんたの学資代にしなきゃと言うことで、母は働きにでました。といっても、こんな時代ですから、 せいぜいパートぐらいしかありません。スーパーのレジ、食堂の皿洗い、朝の新聞配達。夜明けから、夜中まで、働きづめです。 働けるだけ働かなきゃ。体だけは、丈夫だからね。大丈夫。口癖でした。でも、一ヶ月前に。
カヲル:お姉ちゃん、見てみて、あれ、星が流れたよ。
ぼーっと、汽笛が鳴って星が流れる。
何かが夜空を駆け抜けていく。
いちご:ほんとだ。きれいだね。
カヲル:うん。
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