夜舞如−yamaigoto−
夜舞如(やまいごと)
■登場人物
鈴木清十郎 (すずきせいじゅうろう 29歳 ♂ 浪人)
大鳥凪叉 (おおとりなぎさ 17歳 ♀ 時患いの姫君)
里澤安芸 (さとざわあき 30歳 ♀ 凪叉の従者)
滝田鷹宣 (たきたようせん 29歳 ♂ 元新撰組隊士)
御池研二郎 (みいけけんじろう 24歳 ♂ 元新撰組隊士)
実相寺昭兼 (じっそうじあきかね 32歳 ♂ 元長州藩士)
樋口真之介 (ひぐちしんのすけ 30歳 ♂ 実相寺の部下)
水木ふじ (みずきふじ 28歳 ♀ 蕎麦屋の長女)
水木たか (みずきたか 26歳 ♀ 蕎麦屋の次女)
水木なつ (みずきなつ 23歳 ♀ 蕎麦屋の三女)
水木喜八 (みずききはち 27歳 ♂ ふじの旦那)
あかり (あかり 14歳 ♀ 蕎麦屋の居候)
梁田よう (やなだよう 27歳 ♀ 実相寺の従者)
北緒 (きたお 25歳 ♀ 芸妓)
プロローグ
慶応二年11月(1867年)。暗がりの中に凪叉がやってくる。辺りには雨が
降っている。空を見上げる凪叉、しかし月は出ていない。手にしていた市女笠
を目深に被る。その場に腰掛ける。次第に強くなる雨の音。
そこに数人の男女がやってくると彼女を囲むように立つ。最後に鷹宣がやって
くる。男女とは少し離れたところに立ち手には帳簿のような物を持っている。
全員 そして彼女はまた時を遡る。
凪叉、立ち上がると
男 それは呪われた血筋。
女 それは生まれし時より背負いしさだめ。
男 それは全てを消し去る禁忌のチカラ。
女 それは身を賭した儚き舞い。
全員 彼女の名は夜舞い姫。時患いの夜舞い姫。
凪叉の背後に同じような笠を被った腰の曲がった老女がやってくる。じっと凪叉
の方を見ている。
鷹宣 時患い……それ即ち時を遡りし病。
女 姫の時と。
男 姫の想いと。
女 姫の記憶と。
男 全部を奪い塗り替える。
女 新しき時。
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