七色たまごのオムライス
 登場人物

 ナレーター
 王子
 召使
 コック
 兵士1〜2
 鶏1〜3
 神様



ナレーター それは昔むかし、とある大きな国のお話です。その国はとても豊かで平和だ
      ったので、みんな仲良く明るく暮らしていました。

 王子、召使あらわれる。
 料理人たちが、大量の料理を持ってくる。

ナレーター その国には王子様がいました。王子様は明るくて元気で、ちょっぴりやんち
      ゃですが、国のみんなから愛されていました。……どうやら今は王子様の食
      事の時間みたいですね。
召使 今日の昼食は、前菜にヒラメのムニエル、タコのマリネ、メインディッシュにホウ
   ボウのアクアパッツァ、猪の香草焼き、ハンバーグステーキ、カレーにラーメンに
   お寿司、デザートはイチゴのパフェにチョコレートケーキにプリンでございます。
ナレーター 王子様の目の前に豪華な食べ物が次々と並べられていきます。さすがは王子
      様。食べ物もとっても美味しそうです。

 王子、一口二口、まずそうに食べ物を口に運ぶ。

王子 まずい。
ナレーター え?
王子 全然美味しくない! こんなもの食べたくない!
召使 王子様、いったいどれが美味しくなかったのですか?
王子 全部だ! もっと美味しいものを作ってくれって毎日言ってるじゃないか。とにか
   く、こんな美味しくないものは絶対に食べないんだからな!

 王子、かんしゃくを起こして出て行く。
 召使、うなだれる。

ナレーター 王子は怒って自分の部屋に帰っていきました。……どうやら食べ物が美味し
      くなかったようです。

 ナレーター、喋りながら王子の残したご飯をつまみ食い。

ナレーター 美味しい!
召使 ちょっと、勝手に食べないでください。
ナレーター 待って、もう一口……。
召使 これは王子様のために作ったご飯なんですよ!
ナレーター でも、王子様は食べないって言ってるじゃないですか。……それにしても、
      王子様は何でこんなに美味しいものを食べないんですかねえ。
召使 それが、私たちの悩みの種なんです。

 召使、コック、うなだれる。

ナレーター この国の王子様は、料理人がどんなに美味しい食べ物を作っても、決して美
      味しいとは言わす、もっと美味しいものを作れと怒るばかり。
召使 このまま王子様が何もお気に召さなければ、私たちは首になってしまう。
ナレーター そんな王子様に、お城の召使たちはいつも頭を悩ませていました。

 場面は王子様の部屋。
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