『なつのこども』がおわったら
「『夏のこども』が終わったら・・」

                作 結城 翼
                       
         





★登場人物
 はじめ・・・・・
 かのこ・・・・・
 優子・・・・・・
 めぐみ・・・・・
         


#1 『夏のこども』

        くま蝉の声がけたたましい。
        木漏れ日の海岸沿いの小道。潮騒がかすかに響く。
        やや薄暗い中、白い日傘の女が横切って、思い出岬の方へ行く。
        明るくなるとにぎやかにしゃべっているかのこ、めぐみ、はじめ。優子。
        それぞれ「夏のこども」を四冊かかえている。

かのこ:それでさ。おっかしいの。ばかみたい。
めぐみ:へー。そいで。
かのこ:だから、いってやったのよ。
めぐみ:なんて。
かのこ:あんたばかじゃない。
めぐみ:そしたらる・・優子。元気ないじゃない。大丈夫。
優子 :うん。大丈夫。
かのこ:ミドリ先生、つくまでに掃除しとけって。
はじめ:あーあ、泳ぐ時間もないじゃん。
めぐみ:えっ、はじめ泳げたの。
はじめ:去年とはひと味違うよ。

        「夏のこども」をひらひらさせて。

かのこ:あと、これ、10頁やっとけって。
めぐみ:あちゃー、それがあった。うざったいの。
かのこ:何で受験生が「夏のこども」よねー。おまけに勉強合宿だって。あーあ。
めぐみ:ミドリ先生曰く。夏休みは「夏やすまん」。気合いを入れて勉強しなさい!
かのこ:私の青春を返せーっ。(返せーっ、返せーっとエコーを作る)
優子 :私立受かる為じゃ仕方ないじゃない。
かのこ:はいはい。楽あれば苦有り。
めぐみ:おっ、でましたね。ことわざ魔。
かのこ:ピース。(と、Vサイン)
はじめ:そういや、かのこ、いつ引っ越すの?
かのこ:この合宿が終わってすぐぐらいね。
はじめ:えー、そんなに早く。
かのこ:うん。お父さんの会社の都合だってあるから。
めぐみ:優子は、おじいさんとこへいくの?
優子 :あんまり行きたく無いけど。
かのこ:だったら、やめといたら。
優子 :うん、でも、父さん決めたことだし。
めぐみ:(はじめに)あんたはどうなの。
はじめ:わからない。秋になってからかな。
かのこ:父さんとあう?
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