次回上映までの３時間
男２人・女１人バージョン
『次回上映までの３時間』
（登場人物）
奥田直人（２３）
大学４年生。一流企業に内定も決まっており、残された学生生活を楽しんでいる。
基本的には引っ込み思案。思ったことなかなか言えない。自分に自信がないことの
裏返しで向上心が高い。
藤野素子（２３）
派遣職員。男受けする魅力の持ち主。頭もよいのだが、その才能を勉強方面には
むけられなかった。数々の男性遍歴あり。不安定な自分に対する不安にさいなま
れる。
佐多（さた）さん（４０代半ば）
年齢不詳。職業不明。何をして生活しているのかわからない。しかし、特殊能力が
あり、相手が何を考え、何に悩んでいるのかがわかるらしい。
（本編）
1 バス停留所
雨。夜。
停留所の屋根の下にいるブレザー姿の奥田直人と藤原素子。隣同士でベンチに
座っている。
素子、うとうとしかけ、手に持っていた傘を落とす。
奥田がそれに気づくが、素子も気づくと思い、しばらく様子をみる。
しかし、素子は眠りから覚めない。
奥田、思いなおし、傘を拾おうとすると、同時に素子も目覚め、傘を拾おうと
する。
触れ合う２人の手と手。
目と目が合う２人。
暗転
2 タイトル『次回上映までの３時間』
3 タイトル『13：40 映画館』
上映中の映画のサントラが流れ始める。（例えば悲しげなヴァイオリン曲）
4 映画館・チケット窓口
私服の奥田直人がチケットを購入しようとしている。
奥田「『過去のある愛情』大人１枚…（これからの上映が満席と言われ）ええ？！もう、
満席なの？…じゃあ次の回は？４時４０分からの。（大丈夫と言われ）そう…
じゃあ、どうしようかな…まあいいや。整理券ください…（上映開始の１０分前に
来てください、と言われ）１０分前ね、はい」
奥田が話している間に私服の素子が来る。素子は携帯電話で佐多（さた）と話しな
がら、窓口の列に並ぶ。（奥田の数人後ろ）
奥田、整理券を受けとり、列から離れる。素子の脇を通り過ぎる。
奥田の足が止まる。
奥田、振り返って素子の存在を確認する。
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