Let・it・rode!
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楸 間悟 (ひさぎ けんご)
神仁 明日人 (じんに あすと)
衛士村 孫次 (えじむら そんじ) 常に腰に木刀を差している
暗いまま
孫次「明日人、早く来いよ」
明日人「…」
孫次「何縮こまってんだよ。大丈夫だって、あの人はお前が見慣れちまった奴らとは違うから」
明日人「……」
明転 喫茶店、散らかっている。テーブル、椅子等は少ない。
ベルの音(喫茶店に入った時の音) 孫次、明日人登場 孫次は奥まで入るが、明日人は疑るように入り口付近で立っている。
孫次「こんちわ!」
間
孫次「あれ?マスターさん?いないんですか?マスターさ〜ん?前から言ってた奴を連れてきましたよ〜」
間 孫次、店の中を探すがいない。(カウンターもちゃんと探しておく)
孫次「おかしいな、留守か?(カウンター席に座る) 明日人、お前も適当に座っとけよ」
明日人、用心深く座る。
カウンターから非常にゆっくりと間悟登場(目鼻口に穴のあいた紙袋をかぶって) 明日人、気づくが、特にあわてる様子もなく傍観。
孫次「(気づかない)マスターさんも人が悪いな。わざわざ時間を指定しておいて留守にするなんて、なあ明日人」
明日人、孫次の背後をじっと見ている
孫次「…なんだよ、何かあるの―――(ゆっくり振り返る)」
孫次と間悟目が合う 間(時間が止まる感じ)
孫次「…ぎゃ〜!!(木刀を抜いて間悟を殴ろうとする)」
間悟「(必死で避けながら)ちょ、ちょっと孫次くん!?危ないからやめて!!」
間悟逃げ回る、孫次それを追いかける、しばらく追いかけあう。明日人、それを無感情に眺めている。 間悟追いつめられる。
孫次「さぁ、追い詰めたぜ、この変質者ぁ…」
間悟「ちょ、ちょっと待った。孫次くん、落ち着いて。ほら僕だって」
間悟、紙袋を外す。孫次間悟の顔を見ると力が抜ける。
孫次「なんだぁ…。マスターさん、冗談が過ぎますよ!」
間悟「いやぁ、ちょっと脅かそうとしただけじゃないか」
孫次「ちょっとどころじゃありませんよ。っていうか、一体どこにいたんですか?」
間悟「カウンターの後ろ」
孫次「そりゃ分りますけど、俺が見た時には誰もいませんでしたよ」
間悟「ふふふ、もう少し洞察力をつけたまえ明智君」
孫次「誰が明智ですか。で、結局どこにいたんです?」
間悟「(カウンターの下からボストンバッグを取り出し)この中」
孫次「わかるわけないでしょ!!ってか、無茶しすぎ!!」
間悟「だってぇ、面白そうじゃないか」
孫次「はぁ……この人は」
間悟「だいたいさ、考えてもみたまえ、謎のボストンバックが転がっているんだ。中身は正体不明の新生物かもしれないし、あるいは異空間への入口かもしれない。はたまた現金がぎっしりと詰まっているかもしれないし、ひょっとしたら開けた瞬間にドッカーン!と大爆発を起こすかもしれない。そう考えてみたら、開けてみたくなるというのが人間というものではないかい?もしくはそんな可能性を秘めうるボストンバッグの中に入り、自身も可能性の一つになりたいとは思わないかい?」
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