猫の目に映るあたしと馬鹿とクソみたいな生活
猫の目に映るあたしと馬鹿とクソみたいな生活(仮)
登場人物
棚下敬介
棚下アキ
棚下ミツカ
森笠多香子
1
棚下家のリビング。
ごく普通の家庭のごく普通のリビングと同じ。猥雑とした空間。
そこら中に生活の匂いという奴が充満している。
ちゃぶ台が置いてあり、一つだけ不自然な低めのいす。
トイレのほうから、おばあさんのうめくような声がする。
洗濯物をたたんでいるアキ。ふと、
アキ (トイレに向かいながら)おばあさん、出た?
ミツカ(声) あ…
アキ(声) 出たね?おお、ようけえ出しとるわ。
敬介(声) ただいま
アキ(声) お帰り。ねえ、みてみて。
敬介(声) 何?姉ちゃん。
アキ(声) ウンチ
敬介、あきれながらリビングに入ってくる。
荷物を降ろしたり、上着をかけたり…
敬介 (呟く)くだらん事で呼ぶなっての。
アキ(声) 早かったね。
敬介 何が?
アキ(声) 帰り。
敬介 そりゃ早いよ。
アキ(声) 早いの?
敬介 面接三分。
アキ(声) それは早い。
敬介 腹減った。昼飯は?
アキ(声) 鍋に、昨日の残りがある。
敬介 カレー?
アキ(声) カレー
敬介、おもむろに立ち上がり、出かける準備。
そこへ、ミツカの手を引いてアキが入ってくる。
アキ どこ行くの?
敬介 飯、食いに。
アキ すぐ出来るけど? もうお鍋火にかけとるし。
敬介 カレー以外のものを、食いに。
アキ カレーうどんも出来るけど?
敬介 カレー以外って言っとるじゃろ。
アキ もったいない。
敬介 そう思うんなら、食事前にばあちゃんのウンコ見せんといてください。
アキ 誰も食えって言っとらんじゃろうが
敬介 食わんよ。
アキ ほら、すぐ準備するから、そこ座って。
敬介 いいって
アキ もったいないじゃろ
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