カツ丼屋の野望
〜カツ丼屋の野望〜
作 橋口征司
【登場人物】
男1 熱井勝重 江戸っ子なカツ丼屋の店主
男2 馬刺タタキ 刑事
男3 笹見淡白 クールな容疑者
女1 徳条カル美 お嬢様
女2 白鳥たま子 天然レポーター
女3 さくら 貧乏な姉
女4 ぼたん 貧乏な妹
☆ ☆ ☆
舞台はカツ丼屋の店内。いかにもなテーブル二つとイス、のれんがかかっている。
壁には、定番からありえないような物まで様々なカツ丼メニューが貼ってある。
デザートメニューには「氷カツ丼」「アイスカツ丼」などと書いてある。
電話が鳴り、店主が登場。電話をとる。
店 主 はいもしもし、カツ丼屋。…てやんでい、トンカツ屋じゃなくて、
こちとらカツ丼専門店でい。…出前だあ?うちのカツ丼食いたかったら、
店にきてアツアツのヤツを食いな!
店主、乱暴に電話を切る。カル美登場。
カル美 ここが噂のカツ丼屋かしら?
店 主 いらっしゃい!空いてるお席にどうぞ。
カル美、突っ立ったまま。親父、不思議そうに近づく。
店 主 どうしやした?
カル美 この店はお客が来てもエスコートもしないんですの?普通、席まで案内して
イスぐらい引くでしょ?
店 主 この店はそういう高級レストランじゃねえんで。
カル美 あのメニューには最高級と書いてありますわよ?
店 主 あれは豚肉が高級なだけで。
カル美 ちゃんと書いておきなさい。「豚肉高級」「サービス最低」って。
店 主 いや書かねえだろ普通。(渋々イスを引き)あんたうちの店に何しに来てんだ?
カル美 毎日毎日、中華だフレンチだイタリアンだと高級料理しか食べたことがございませんの。
それで一度庶民の味と言うものを味わってみたくて、この小汚い店にわざわざ
足を運んでやったんでございますのよ。
店 主 何だこのやけに高い目線の言い方は。帰って(けえって)くれ!
カル美 そうは行きませんわ。目的のためなら手段は選びませんの。
カル美、右手を上げ合図をすると、銃声と物が壊れる音。驚く店主。
店 主 な、何だ今の…!ゴルゴ13か!?
カル美 お〜っほっほっほ…さあ、命のあるうちにカツ丼とやらをお出しなさい!
店 主 何で命がけで作らなきゃいけねえんだよ…
カル美 シェフのおススメで、一番高いやつよ!お早くね!
店主、奥に引っ込む。すぐにカツ丼を持って出てくる。
店 主 へいお待ち!
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