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信じてる……

信じてる……

登場人物（CAST:3）

鳴田　籐香　（なりた　とうか）
泉谷　優陽　（いずみや　ゆうひ）
鳴田　香奈子　（なりた　かなこ）　→藤香の母

明転
籐香と優陽が話している。2人は高校から帰る途中である。

籐香　あ〜ショックだよ〜。あの人がまさか付き合ってたなんてーー
優陽　そう……みたいだよね。今度こそ告白するんだ〜って意気込んでたのにね、藤香ちゃん。残念だったね。
籐香　え？何、知ってたの？彼に彼女がいるって。
優陽　え？う、うん。前々からそうなんじゃないかな、って。あっ、でも、知ったのは私も今日だよ？そんな睨まないでよ。
籐香　睨んでないわよ。
優陽　睨んでたよ。
藤香　だってさ！気付いてたんなら教えてくれればよかったのに、人が悪いよ、優陽は。
優陽　え〜なにそれ。だって、私、あんまり自信なかったんだもん。藤香ちゃんの想い人さんとあんまり話したこともなかったし。ただ、周りの人の話を聞いてたらさ、そうなんじゃないかな、と……
籐香　え〜、そんな話してた？
優陽　いや、私が、教室にいる時に聞こえてきた話で、
籐香　あ、そっか、優陽、同じクラスだもんね、あの人と。い〜な〜。ずるいな〜。
優陽　でも、籐香ちゃんの方が、彼と話してるじゃない。ただのクラスメートの私なんかよりずっと親しいじゃない。
籐香　違うの！クラスが同じだったら、授業中だって見れるでしょ。い〜な〜。はあ。でも彼女さん美人だったよな〜。
優陽　知ってる人だったんだ。
籐香　ううん。見に行ったの。
優陽　……よくやるね。
藤香　疲れました。
優陽　お疲れ様でした。
籐香　はぁ〜……。ま、諦めるか。
優陽　諦め早いね。
籐香　そ。女の子は清く！正しく！潔く！ってね。
優陽　潔くって、今まで散々グダグダ言ってて……
籐香　細かいところは気にしないの！
優陽　はいはい。
籐香　よーし！新しい恋を見つけるぞ〜。そういえばさ、図書委員の委員長さんかっこいいかも。　　　この前、こっそり多めに本貸してくれたし……。どうかな？
優陽　どうかな、って言われてもさ……。変わり身、早いね。
籐香　そこが私のいいところさ！
優陽　そういうのは自分で言っちゃだめでしょ。言わなかったら私が言ってあげたのに。“まぁ、そこが藤香ちゃんのいいところなんだけどね”って。
籐香　え、ほんと？惜しい事したなあ。
優陽　たぶん言わなかったと思うけど。
籐香　え〜。
優陽　もしかしたら言ったかも？
籐香　そう？
優陽　う〜ん……、やっぱ言わなかったかな……？
籐香　なにそれ？はっきりしてよ！
優陽　ま、とにかく、籐香ちゃんあんまり落ち込んでないようなのでひと安心でした。まる。
籐香　え〜なにそれ。かなり落ち込んでるんだよ？あの人に彼女がいるって聞いて、次の瞬間彼女さんの名前聞き出して、見に行ったんだよ？それも猛ダッシュで。しかも、運の悪いことにそのとき10分休みでさ、その子の教室遠くてさ、私、次の授業間に合わなかったんだよ？
優陽　それのどこが落ち込んでるの？
籐香　とにかく、私、先生の説教も耳に入らず、あ〜あの子かわいかったな〜。そうか、あの人はああいうタイプが好みだったのか、私に勝機ないじゃん。……って、かなり落ち込んでたの！
優陽　それはご愁傷様。　
籐香　なのにさ、先生がさ、私がうわの空だ〜とか言ってより怒るし、散々だったよ。

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