キャノル
キャノル
キャスト
滝野道弘
高松隆子
野辺
松坂
キャノル
ユウ
第一場
松坂、土手で石を投げている。
野辺、登場。しばらく松坂を観察。
野辺 「松坂」
松坂 「おう、野辺か」
野辺 「なーに、上京するかしないかで悩んでる青年みたいなことやってんだ」
松坂 「わかんねえよ、そのたとえ」
野辺 「黒づくめの服着た男が、そんなティーンなことやってちゃダメだろうが」
松坂 「だからわかんねえよ」
野辺 「何だよ話って。しかもこんな川原に呼び出しやがってさ」
野辺、座る。
松坂、続く。
松坂 「あのさ」
野辺 「なーに?」
松坂 「俺が、何て言うか、その、」
野辺 「ヤクザ」
松坂 「それとはまたちょっと違うんだけど……」
野辺 「じゃあ何だよ」
松坂 「マフィア」
野辺 「大して変わんねえよ」
松坂 「でも、結構違うもんなんだよ。ヤクザってのは、義理と人情と体裁をすげえ重視するんだ。うちはそんなこと無いもん」
野辺 「じゃあお前らの方がタチ悪いってことだろ」
松坂 「まあ、そうだけど。たまにはヤクザ騙くらかしてクスリ、あ、もちろん非合法のやつな」
野辺 「ああ、はいはい」
松坂 「で、シャブを騙し取ったり」
野辺 「具体的になったな」
松坂 「人殺したり、家に火ぃ付けたり、子供さらったり、女犯したりしてるよ」
野辺 「お前ら最低だな」
松坂 「たまにだよ、たまに」
野辺 「で、そのマフィアの若頭がいったい何の用だよ」
松坂 「若頭じゃねえよ。それこそヤクザの言い方じゃん。それに、そこまで偉いってわけじゃないから」
野辺 「へー。じゃあ、どれくらいの位置なんだよ。石原軍団で言ったら」
松坂 「え? ……んーと……良純?」
野辺 「そいつ多分団員とみなされてねえよ」
松坂 「じゃあ、えーと……舘ひろしの、お気に入りの、若い俳優みたいな感じ」
野辺 「おお、じゃあ結構すげえじゃん」
松坂 「そうなのか?」
野辺 「お前、あんまり知らないんだろ」
松坂 「まあ、実はな。でも、大体ナンバーツーの人から、すげー可愛がって貰ってる」
野辺 「ああ、じゃあぴったりだよ」
松坂 「へー」
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