ある劇部の練習風景
セブンイレブンまで5分で走る女
ある劇部の練習風景
 市野 梓(気弱な部長)  
 桐生 華恋(男らしい。最近何故か黒魔術にはまる部員)    
 城崎 紗夜(しっかり者だがもっともきつい演劇部マネージャー) 
 佐藤 朋美(ほわわんとしたかわいこぶりっこの後輩)
 バカップル男(佐藤)
 バカップル女(城崎)
 店員(城崎)
 客(桐生)  
 
 第一場 教室
 佐藤 はぁ、寒いです。毎日、毎日こんなんじゃ凍っちゃいますよ〜。
 城崎 そお?これ位たいしたことないわよ。
 桐生 そりゃ、おまえはな。だいたいこの時期にセーターもなく過ごしていられる辺りで常人とは違うだろ。
 城崎 何それ?しっつれいねぇ。あたしは普通ですー。
 佐藤 でもお言葉ですが、城崎先輩今日は一般的に寒い日であって決してそんな薄着で過ごせる日ではないと思います。
 城崎 うるっさいわねぇ。そんなに寒い、寒い言ってるとあんなになっちゃうわよ(市野を指差す)
 
 市野は、ずっとコートに丸まって「寒い、寒い」と呟きながら教室の隅のほうにいる。
 
 市野 寒い、寒い。凍えるー凍死する。
 佐藤 うわぁーたとえ凍死したってああはなりたくないです。
 桐生 人間の成れの果てやね。
 城崎 あれ、あいつ霊長類ヒト科だっけ?
 市野 あ?なんか私呼んだ?
 三人 全然(ですぅ)
 城崎 あれと目合わせちゃだめよ。
 桐生 餌ねだられるぞ。
 佐藤 気をつけます〜。
 市野 やっぱり何かいってんじゃないかよ。むしろめちゃくちゃ私の悪口じゃん。
 桐生 (笑顔で)気にすんな。
 市野 するわっ。
 城崎 でもねぇ、あんたは言われても仕方ないわよ。だって、毎日暖房がつかないのはあんたのせいなんだもん。
 市野 ちょっと待て。そんなことはないだろ。
 城崎 それがあるんだなぁ。じゃーん、これなーんだ。(手には1枚の書類)
 桐生 なんだそれ?冷暖房使用届出書?
 城崎 そっ。これを市野がきちんと提出してればこの部屋にも暖房が入るようになるはずなのよ。
 桐生 てめぇ。
 佐藤 えぇ、今までずぅぅっと寒い中部活をやらなくちゃいけなかったのは梓先輩のせいだったんですか。やっぱり最低ですぅ。前からそうは思ってましたけど。
 市野 まぁ待て、まぁ待て。皆落ち着こうじゃないか。
 城崎 あんた以外十分知落ち着いてるけどね。
 市野 私は悪くない。そんな書類があることを知らなかったんだ。
 桐生 おまえが馬鹿なのが悪い。
 城崎 無知は罪よ。
 市野 だいたい知ってるんならお前が書きゃよかったじゃねーかっ。
 城崎 最初からあたしは言ってるじゃない。あたし、別に寒くないって。
 佐藤 先輩…。
 桐生 もういいよ、おまえ。北海道でも行っちまえ。
 市野 ほぉら、やっぱり悪いのはあいつじゃないか。っていうかおまえは寒くないなら、文句言うなよ。私の方がよっぽど寒いんだぞ。
 城崎 あたしだって一応寒いと感じる感覚は持ち合わせてんのよ。だいたいねぇ、あんた部長としての仕事ほとんどしてないんだからこれ位やったっていいでしょ。
 市野 すいません。えっと、でもこれからはですねぇ、せめてそういう場合は書類の存在ぐらい教えて頂けるとですねぇ、あの誠にありがたいんでございますが…。
 城崎 めんどくさい。
 市野 あっ、そうですよね。失礼しました。
 桐生 腰ひっくー。
 佐藤 でも、謝ってるってことはぁ結局のところ梓先輩が悪いって事ですよねぇ?
 桐生 だな。
 佐藤 せんぱーい。私ぃ、あったかいあんまんが食べたいんですけど。
 桐生 じゃあ、俺はあったかいお茶でも。
 城崎 いいね。それじゃあ、あたしはアイスクリームでいいや。
 三人 寒っ。
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