ミッドナイト・ガールズ
ミッドナイト・ガールズ
怪しげに薄暗く灯る部屋の中
一人のスーツ姿の少女が立っていた
真理子 勝つか、負けるか。先日、私は戦いに勝利した。その名も受験戦争。滑り止
めという逃げ道は作らない。第一志望大学へ真っ直ぐ攻めていった。女の毎
日は戦いだ。猪突猛進で人間関係を深めたり、ときにはひらりと距離を取ら
ねばならない。男が知らない女のどす黒い戦いが毎日密かに繰り広げられて
いる。真っ黒な真冬の中、色とりどりに光るネオンライトに囲まれて、私は
一着のスーツを愛しい者から勝利の栄光にいただいた。いや、単なるご近所
の悪がき兄ちゃんからなんだけど。
聖治 結構似合っているじゃん。
真理子 ありがとう、せいちゃん。
聖治 髪、後ろにひとつに結んでみ？
真理子 なんで？
聖治 試しにさ。その方がかっこよさそうじゃん。
真理子 （髪を結びながら）別にかっこよくなくてもいいんだけどな。せいちゃん
って、自営業をやっているんだっけ？
聖治 まあな。
真理子 ここがせいちゃんのお店なんだよね？すごい店内装飾。ちょっと派手なバ
ーって感じ。今日はお店お休み？
聖治 いや、これからオープン。
真理子 これから？もうすぐ夜の７時だよ。
真理子 どういうこと？
聖治の携帯電話が鳴る
聖治 もしもし。…おまえも食中毒かよ。頼むから今日マジで来いよ。昴はイン
フルエンザ、仁と晃はお前と同じ食中毒。は？イカのげそのだから仁たち
の食中毒とは格が違う？訳わかんねー理屈ほざくなよ。だからさ、店開け
らんねー状態なんだってばよ。な、頼むから…あ（舌打ちをする）
真理子 従業員の人、全員休みなの？
聖治 ああ。
真理子 だから私をここに？
聖治 ああ、そうだよ。
真理子 わかった。せいちゃんのお店のために頑張るよ。
聖治 真理子。ちょっと見ない間にいい女になったな。
真理子 そんなことないって。仕事、何をすればいいの？仕事の内容とか普段全然
教えてくれないんだからすぐ覚えられるかわからないよ。
聖治 付き合わない？俺たち。
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