そして校庭を走った
そして校庭を走った 作 田辺 剛
〈登場人物〉
A組の生徒 フミ/ジュンコ/ヤスヒロ/タエコ
B組の生徒 マサシ/キリュウ/ヤスコ
C組の生徒 イチコ
マサシの後輩 タロウ
教育実習生 タグチ
[舞台図(例)]
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エリア3
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| 下駄箱B |
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下手 エリア2 上手
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| 下駄箱A |
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エリア1
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客席
とある高校の三年生生徒用玄関である。生徒たちはここで靴と上履きを履き替えることになっている。舞台には二つの下駄箱が横向きに、客席からは重なって見えるように並んでいる。舞台面(つら)側のものをA、奥側のものをBとする。下駄箱の周囲にはすのこが敷いてあり、下手で一つになって校内に続いていく。上手は外で、その先には校庭や校門があるだろう。
下駄箱Aの面側の空間をエリア1、AとBの間をエリア2、Bの奥側をエリア3とする。二つの下駄箱は重なっているので客席から見えるのはエリア1で、場合によってはエリア2の一部が見えることもあるが、エリア3は見えない。
開演前。深夜の学校。下駄箱は月の光に照らされ、舞台はしんとしている。しばらくすると夜が明ける。この世界の一日が始まる。
1 朝
エリア2からタロウが現れる。誰かの靴箱を探しているようだ。エリア1にやって来る。そこにマサシが登校してくる。
マサシ (タロウを見て)?
タロウ (探し続けている)
マサシ おう。
タロウ あ。
マサシ なにしてんの。
タロウ おはようございます。
マサシ うん。
タロウ …。
マサシ え?
タロウ はい?
マサシ だから、なにしてんの。
タロウ あ、いや、別に。
マサシ うん。
タロウ …先輩、どうしたんすか。
マサシ どうしたって…学校やん。
タロウ 早いでしょ、まだ。
マサシ え?
タロウ 時間。
マサシ ああ。…部室寄って…マンガ読もうと思って。
タロウ マンガですか。
マサシ うん。
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