The stranger from snow
「The stranger from snow」
―ザ・ストレンジャー・フロム・スノウ―
CAST
夏 海(女:14才)
ゆ き(女:17才)
三珠鎮子(みたましずこ―霊能者)
青 井(イッポンテレビ 霊感ディレクター)
観客が入ると、舞台上には部屋があり、ソファーやテーブル、棚などが置いてある。照明も付いている。音楽が舞台の幕開けを告げる。
やがて、夏海が部屋に帰ってくる。何か部屋の様子を窺っている。
夏海 た・だ・い・ま? なんちゃって。(荷物を置くと、傍にあった犬のぬいぐるみに話しかける。)ハハ、またやっちゃった。
雪降るとさ、な〜んかね、やっちゃうんだよね。そんな筈ないのに・・・(遠い目になる)
この時、奥から"ゆき"が飛び出してくる。
ゆき おかえり〜!
夏海 (不意を突かれて短く)ひっ!
ゆき 遅かったね。(夏海にまとわり付く)ずっと待ってたんだよ! 元気だった? 雪積もるの、久しぶりだもんね〜。
夏海 ちょ、ちょっと、タンマ。
ゆき え? なになに?
夏海 あんた、誰?
ゆき え〜?、忘れちゃったの? 約束したのに。
夏海 約束? あたしが?
ゆき そう。
夏海 あんたと?
ゆき うん。
夏海 あのね、あたし、知らない人と約束する趣味ないんだけど。
ゆき ま、普通、約束が趣味ってのも聞かないけどね。
夏海 (はっとして)ド、ドロボー?
ゆき 失礼ね、こんな可愛いドロボーが・・・・あ、キャッツアイって、あれドロボーだっけ? って、何してんの?
夏海 (部屋の電話をかけようとしている。)落ち着け、落ち着け。え〜と、イチ、イチ・・・・あれ、どっちだっけ?
ゆき 七!(と、電話のフックに指をかけ)ぷっぷっぷっぷ〜ん! ただいまから、午後三時五十三分を・・・・
夏海 (テーブルの上のケータイを取り上げて)イチ、イチ、ゼロ・・・・
ゆき (ケータイを取り上げて)あ、あれ、ホントにかかっちゃった。ごめんなさい、ホラ御覧なさい、だから悪戯しちゃダメって・・・・
あ、申し訳ございませ〜ん、今子供と遊んでたらホントにかけちゃって・・・・ええ、間違いです。
ちょっと『湾岸署ごっこ』なんてやってたものですから・・・・は〜い、すみませ〜ん、以後気をつけま〜す。(切る)
夏海 (取られたケータイを指差して)やっぱりドロボー?
ゆき (気付いて慌ててケータイをテーブルに戻す。)だから違うって。ネ、そーゆー過激な行動に出る前に、少しは人の話聞こうよ。
夏海 この状況では、フツーの反応だと思うけど。
ゆき わかった。それはアレでしょ? あんたがあたしの事を思い出せないから・・・・
夏海 だから、誰!
ゆき ホントに忘れちゃったの?
夏海 忘れたんじゃなくて、知らないの!(ゆきに迫られて)・・・・たぶん。
ゆき ホラ、怪しくなってきた。さ〜て、いったい誰でしょう。
夏海 だから分かんないって。
ゆき ファイナルアンサー?
夏海 答えてないし。
ゆき ヒント! それはあなたが・・・・
夏海 クイズなんてする気ないから!
ゆき スノウだよ。
夏海 え?
ゆき ス・ノ・ウ!
夏海 はい?
ゆき もう! ホントに忘れちゃったの? あんなに仲良しだったのに。
夏海 あの・・・・、スノウって、もしかして・・・・?
ゆき そう、この家に居たでしょ? ずいぶん前だけど。
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