終わらない唄を謳おう
登場人物
佐々木
但馬/教師A
みゆき/天使
少女/鷹田
どこにでもある高校の屋上で一人の青年が空を見ている。青い空が広がっている。
青年が眼を瞑っていると、懐かしい歌声が聞こえてくる。青年が心に流れている歌を口ずさんでみる。
時間が遡り、辺りを橙に染めていく。
橙色の太陽に向かって謳っている少女。高校の制服を着ている。逆光でシルエットになっている。
再び現代、青年が空を眺めている。青年がいる屋上の逆側に一人の初老の男がいる。眼を瞑り天を仰いでいる。ゆっくりと眼を開き、微笑む。
時間がさらに遡り、夕方。
太陽を背にして、笑いかけてくる女性。逆光でシルエットになっている。ゆっくりと消えていく。
どこかにある高校の屋上。終了のチャイムが鳴り響く、夕暮れも近い。
青年が帰ろうすると初老の男が声をかける。
男 そこの青年
青年 はい?
男 何をしている?
青年 み、見回りですけど…
男 夏休みにか…ここの教師か?
青年 一応、美術科で週一で教えてますよ。貴方は…?
男 今年から清掃員になった
青年 佐々木です
男 但馬だ
空から数枚の羽が降ってくる。
見上げる二人、しかしそこには何もない。誰もいない。
突然、屋上のドアから女子高生が飛び出してくる。
女子高校生 あぁー!!!
青空に向かって吼える。
佐々木 え?
但馬 ふぅ…
女子高校生 あぁぁ!!!
青空に吼え続けている女子高校生。
佐々木の家。アパート。朝
佐々木がダブルベッドで寝ている。
目覚まし時計が鳴り響く。
寝ぼけて佐々木が隣にいるはずの誰かを探すが、誰もいない。
佐々木 あぁ、…
佐々木、苦笑する。
ベッドからでて、洗面所で歯ブラシとコップのセットが一つ消える顔を洗い、リビングに行くと朝食の用意が出来ているが消える。
朝食の用意をする。冷蔵庫を開けて材料を取り出すが二人分の用意をしてしまい苦笑しながら一人分に戻す。テレビをつける。
テレビのキャスター …最後のニュースです。数ヶ月前、突然失踪した国立大学、但馬教授ですが今現在も行方不明で周囲の知人が困惑気味との事です。早く見つかるといいですね。さて、お天気のコーナーです。今日の天気は、全国的に晴れ。久しぶりの快晴、こんな日は、家族や恋人と外にお出かけなんてどうしょうか?
佐々木が朝食を一人で食べている。新聞を食べてる途中で取りに行く、コーヒーを飲みながら新聞を広げる。
新聞に”但馬教授、失踪の真実”と踊っているが、佐々木はそれに気がつかない。
時計に眼をやると週に一度の仕事の日。仕事の用意をする。
洗面台にいき歯を磨き、顔を洗う。部屋の隅にある小さな仏壇に手を合わせる。
佐々木 それじゃ、いってきます、ユキ
仏壇には、若い女性の写真がある。佐々木が部屋をあとにする。いってらっしゃいという言葉はない。
但馬の家。一軒家。朝。
ソファで本を読みながら眠っている但馬。ソファの前の机には書きかけの原稿と飲みかけのコーヒー。但馬がソファから落ちる。
但馬 くっ…、寝ちまったか。…さぶ
但馬がコーヒーを新しくいれて、ソファに座りなおす。
但馬 今日、何日だ…?
但馬が新聞を取りに外にでる。青空が広がっている。
新聞を広げる。新聞に”女性高校教師、生徒に刺殺される。”の見出し。但馬はそれには気がつかない。読みながら家に入る。
朝食の調理を手際よく進めていく。プロ並みの腕前。
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