F・C・S
F・C・S〜Funky Christmas Style
シーン1 冬美の部屋
冬美、携帯電話で話している。
冬美 「えーっ、ちょっとぉ、それどういう事よ!……いや、困るってば。私だってさぁ、明日は予定が……まぁ、確かにキャンセルできなくも無いけど……やだよぉ。クリスマスイブに徹夜なんて……お父さん、ホントに何とかなんないの?……風邪ぐらい我慢すればいいじゃない。……肺炎? んなわけないって……ホントに、何とかなんない?……無理?……はいはい。じゃあ、お年玉は五割増しって事で。……それくらいいいじゃない! 言っとくけど、私、バイトサボるんだからね?……そう、塾の講師。今の時期、大変なのよ。テストの丸付けとかもあるしさ…………うん……やり方は大体知ってるから、安心して。……そんなに心配なら、自分がやればいいじゃない。……はいはい。やればいいんでしょやれば!……はい、じゃあね!」
冬美、携帯電話を切る。
冬美 「……あー、面倒だなぁ……」
冬美、机の引き出しをあさる。地図とダーツの矢を取り出す。
冬美 「まずは、行く家を決めないとな……」
冬美、地図を椅子の上に立てる。数メートル下がったところから、ダーツの矢を三回投げる。
冬美 「(テンション低目)さーて……今年のラッキーなお宅は……(適当な住所)、中山さん、(適当な住所)、本田さん、そして……(適当な住所)、本郷さんの、三家庭でーす、っと……はぁ」
冬美、ベッドに横たわる。
冬美 「あー、本当に面倒臭いっ! 何で私がぁ……何でクリスマスイブの夜に、こんなうら若き乙女が、寒さに耐えながら他人の家に忍び込まなきゃいけないのよっ!」
冬美、枕等に八つ当たり。
冬美 「確かに恋人と呼べる異性はいません! いませんが、それが何か? いけませんか? だからこそ、今年こそは寄り添う相手を探したいのにっ!……(急にテンション下がる)あー、空しい」
暗転。
シーン2 クリスマスイブの夜の本郷家の居間
理奈、テレビを見ている。
由紀子、七面鳥を乗せた皿を運んでくる。テーブルに乗せる。すでにいろいろ乗っている。
理奈、食卓につく。
由紀子 「さあ、晩御飯にしましょう」
理奈 「はーい……(立ち上がる。二階に向かって叫ぶ)おねーちゃーんっ! ご飯だよーっ!」
奈美、居間に姿を現す。
奈美 「はーい、っと……うわー、ホントに七面鳥焼いてんじゃん」
理奈 「そうだよ。お姉ちゃんも、少しくらい手伝ってくれたってよかったんじゃない?」
奈美 「いや、私はそういうのいいから。第一、勉強で忙しいのよ」
理奈 「ふーん……いつもの『逃げ』か」
奈美 「何か言った?」
理奈 「いいえ」
由紀子、理奈、奈美、テーブルを囲んで座る。
由紀子、シャンパンを注ぐ。理奈には、シャンメリー。
理奈 「いただきまーす」
各々、食べ始める。
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