B・HAPPY
B・HAPPY

     作  橋口 征司


  ☆登場人物

  ユカリ 母(幽霊)
  タカシ 父 
  アカネ 長女
  ミカ  次女
  ナツミ 父の恋人


     ☆


     真っ暗な舞台にユカリが浮かび上がる。誰かと交渉している様子。

ユカリ …この日が、私が死んでちょうど十年目ですね…そう、この日。この日じゃないと
    ダメなんです。一回だけでいいから。ね、お願い♪(何か色っぽいポーズ)
    …ダメ?ケチ。(独り言)ちぇっ。色仕掛けは効かないか…いえいえ、
    何でもないです。お願いしますよ。…頭固いな〜もう。一回だけって言ってるじゃ
    ないですか。あーそーですかわかりましたよ。こうなったら地縛霊になって、
    手当たり次第崇って心霊スポット増やしてやるんだから。
    (態度変えて)…え、本当ですか?ありがとうございますぅ〜。信じるものは
    救われるってね。はい。もう二度と言いませんから。え?私の姿は家族にしか
    見えない?もちろん、大丈夫ですよ。(真剣に)…そう、約束を果たすために…

     ユカリが消え、照明が付くとそこはリビングルーム。ソファでコーヒーを飲み
     新聞を読んでいるアカネ。テーブルには写真立て。タカシがネクタイを
     締めながら登場。

タカシ なんだアカネ、学校に行かなくていいのか?
アカネ うん。今日は高校の創立記念日だから。
タカシ そうか…そうだったな。
アカネ それより父さん、今日は大事な日でしょ?
タカシ ああ、うん…て、何で知ってるの?

     ミカ、慌てながら登場。

ミカ  わ〜っ遅刻、遅刻するっ!なんで早く起こしてくれないのよ!
アカネ 何回も起こしたっつーの。てか目覚ましかけてんでしょ?
ミカ  知らないよ。いつの間にか誰かが勝手に止めてんの!お姉ちゃんでしょ?
アカネ んなわけないっしょ。
タカシ ああミカ、丁度よかった。ちょっと話がある。
ミカ  えぇ〜?今忙しいのに。帰ってからにしてよ。
タカシ いや、ちょっとでいいからさ。
アカネ そうそう。今日は大事な日なんだから。
ミカ  なんだよぅ〜?
タカシ えと、な。お前たち、彼氏とかいるのか?
二人  はぁ?
タカシ いや、ちょっと参考までにさ。好きな人くらいいるんだろ?
アカネ …父さんどうかしたの?急に変なこと聞いて。
ミカ  そりゃぁお年頃なんだから、カレシの一人やふたりいるでしょ。
タカシ なに!?ミカはまだ中学二年生だろ?彼氏の一人やふたりって…そんなの、
    父さん許しません。
ミカ  なんだよ、自分で話振っといて。もう学校行くよ!
タカシ ああ、いや、その…ごめんごめん。実はな、え〜っと、何だ、あの〜
アカネ 言いたいことがあるならはっきり言えばいいじゃない。母さんのことでしょ?
1/15

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム