店員と客〜スーパー編〜 (5分)
     客が購入カゴをレジに持って来る。

店員  いらっしゃいませ。108円、108円、168円、525円、336円、230
    円、恐らく200円、126円。
客   は? 今、何て言いました?
店員  126円。
客   違うよ、その一つ前。
店員  200円。
客   上に何か付いてた。
店員  (自分の頭の上を払う) え、何? クモの巣?
客   頭には付いてないよ。
店員  (振り返る)
客   背後霊も憑いてないよ。
店員  すごい! 視えるんですか?
客   視えないよ! 視えないけど多分憑いてないよ。
店員  なんだ…。
客   なんで残念そうなんだよ。そうじゃなくて、200円って言葉の上に余計なのが付い
    てたの。
店員  恐らく。
客   それ、それがおかしいんだよ。何、恐らくって。
店員  あ、失礼しました。おおよそ200円。
客   違う違う。
店員  ほぼ200円?
客   言い方の問題じゃなくて。何でアバウトになっちゃったの?
店員  何ででしょうね。189円。
客   まだ次の商品やらないでいいから。オレは何で?って聞いたんだよ。
店員  何ででしょうね。189円。
客   だから、まだ次の商品やらないでいいから。どういう事なんだよ? 200円な
    の? 違うの? どうなってんの?
店員  どうなってんでしょうね。210円。
客   だから、次の商品やらなくていいし、さっきより高くなってるし。何なの? 
    この店は商品の値段が適当なの? はっきりしてくださいよ。
店員  (はっきりした口調で)じゃあ、530円。
客   自信持って値上げすんなよ。「じゃあ」って事ないだろ? 御新香だよ? これは、
    たかが御新香。
店員  お客様。お言葉ですが、たかがというのは生産者に対してちょっと…。
客   まぁ、そりゃね…。それは悪かったけど。オレは量と値段の釣り合いを見て選んだ
    の。この量で530円は高いだろ。別にどっかの名産品とかじゃないだろこれは。
店員  じゃあ、60円。
客   だから、「じゃあ」っておかしいだろ? いいのホントに60円で?
店員  こんなもん大した金額になりませんよ。
客   生産者に悪いだろ! いや、買う側としては安いに越した事ないんだけど。後で「や
    っぱり違ったから差額を」ってなるのは嫌だからね? ちゃんと確かめてよ、今。は
    っきりさせて欲しいんだよ。
店員  …少々お待ちください。

     店員、退場。

客   なんだよ、あいつ。

     しばらくして戻ってくる。

店員  お待たせ致しました。
客   で、いくらなの?
店員  恐らく200円。
客   さっきと一緒だから! はっきりして欲しいんだよ! 言わなかった? オレ、言っ
    たよね? さっき何しに引っ込んだんだよ。
店員  おっきいほうです。
客   は?
店員  おっきいほうです。
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