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丸くて角ばっていて…

丸くて角ばっていて・・・

登場人物

旅行者１「クック」
旅行者２「キムキム」
地元の人「ヤスユキ」
思い出生活者「アカリ」
男「禁煙生活者」

１

ここは日本のどこか。坂の多い街。もしかすると尾道かもしれないし、そうでないかもしれない。
旅行者１・２、旅の途中。どうやら徒歩で旅をしているらしい。いまどき珍しい人だ。

旅行者１　　ねえ、ここに行ってみようか？
旅行者２　　何？「天寧寺」、おいおい寺かよ。
旅行者１　　仕方ないだろ、寺しかないんだから。
旅行者２　　もっと、あるだろ。穴場とか。
旅行者１　　穴場？
旅行者２　　そ、穴場。
旅行者１　　墓場ならあるよ。
旅行者２　　おい、お前。
旅行者１　　いつもみたいにクックって呼べよ。
旅行者２　　じゃあ、クック。
旅行者１　　何だよ。
旅行者２　　我々、沖ノ島徒歩同好会の活動目的とは何だ。
旅行者１　　ありません。
旅行者２　　そうだ。で、我々は何をしている。
旅行者１　　歩いてます。
旅行者２　　そう。我々は目的も無く歩いている。だがな、人間何か目的がほしいものだ。無駄な事を無駄と思いながらするのは非常にきつい。
旅行者１　　そう！だから天寧寺。
旅行者２　　だから、どうしてお前はそうなる？確かにこの街は寺が有名だ。むしろ、寺しかない。
　　　　　　だからと言って、寺めぐりをしようというのはあまりにも、
旅行者１　　安易ではないのか？でしょ。
旅行者２　　そのとーり。
旅行者１　　どうするんだよ。
旅行者２　　地元の人に聞いてみる。と言うことで、お前行って来い。
旅行者１　　僕が？嫌だよ。
旅行者２　　どうして、お前はそうなんだ。
旅行者１　　だから、クックって、
旅行者２　　努力を惜しむことなく穴場を探す。
　　　　　　これが、我々、沖ノ島徒歩同好会の目的ではなかったのか？
旅行者１　　言い出したらきりが無いんだから・・・
旅行者２　　何か？
旅行者１　　なんでも。行ってくるよ。
旅行者２　　それでよろしい。
旅行者１　　その前に、一つだけ聞きたいんだけど。
　　　　　　僕たち、徒歩同好会だよね。
旅行者２　　そうだ。
旅行者１　　僕たち、この街に来るのに何キロ歩いた？
旅行者２　　それを言うな。
旅行者１　　僕たち、ものの一キロも歩いてないぞ、うちからフェリー乗り場まで、５００メートルくらい
　　　　　　その後はずっとフェリー。
旅行者２　　いいじゃないか、フェリー。
旅行者１　　フェリー。
旅行者２　　つべこべ言わず行って来い！
旅行者１　　フェリー

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