タイムカプセル
タイムカプセル
作/スラッシャー松井

◆登場人物◆
男 2人 / 女 4人

岡崎マサル(男)
海野ケンゾー(男)
松原トモヨ(女)
辻アキラ(女)
葛西ジュンコ(女)
山之上チサト(女)

●プロローグ●
 山間にたたずむとある中学校。この中学校の体育館に一人の男の影が見える。男は懐かしそうな、それでいて少し寂しそうな表情を浮かべ体育館を見回している。まるで、久方ぶりに訪れた我が母校を見るように・・・。やがて人の気配を感じ取ったのか、後ろを振り向く。誰かがこの体育館にやってくる。懐かしい足音と共に。
 体育館は静寂に包まれた。男の姿もどこかに消えていた。足音はだんだん近づいてくる。今日の同窓会のメンバーが一人、到着したようだ。



●第一場●
 太陽が西の空に落ち始めた。辺りはゆっくりと茜色に染まってきている。
 とある学校の体育館。築数十数年は経っているのであろう、ところどころガタがきている。右の壁には体育用具をしまうための扉。正面の壁の左端に体育館の出入り口がある。床には様々な運動競技に対応できるよう、色々な色の線でコートが書かれている。体育館の隅には、おそらく前に使った人がしまい忘れたのだろう、バスケットボールが一つ転がっている。
 だだっ広い体育館にボールの弾む音が聞こえる。何やら、バスケットボールで遊んでいるヤツがいる。辻アキラだ。

辻   「あ〜、久々に動いた〜。やっぱりいい運動になるわねバスケは。」

 辻、その場に座りこみ、そのまま寝転がる。

辻   「疲れた〜。普段運動してないのがわかるわね〜。身体がギシギシいってるわ。これからは、少しジョギングでもしようかな・・・。」

 体育館の天井に、一つだけ切れている電球がある。辻、それに気づき・・・。

辻   「あ、あそこの電球、切れたまんまだ・・・。」

 辻、腕時計を見ながら。

辻   「はぁ、それにしてもみんな遅いな・・・。忘れちゃってるのかな・・・。そうだ!!電話してみるか!」

 辻、立ち上がって自分の荷物が置いてあるところに行く。荷物の中から、携帯電話を取り出す。

辻   「(携帯電話をいじりながら)だめだ、ここ電波悪いな・・・。」

 電波状況のいいところを探すが・・・。

辻   「外でかけてくるか。」

 辻、去る。しばらくして葛西が入って来る。

葛西  「おはようございます!」

 当然、誰からも返事は返ってこない。入り口に突っ立ったままの葛西。

葛西  「どなたかいらっしゃいませんか〜?」

 ノーコメント。葛西、体育館の中へ入っていき・・・。

葛西  「おかしいな・・・。みんなまだ来てないのかな・・・。(荷物を見つけて)あ、誰か来てる!」

 葛西、荷物に近づきしげしげと見る。

1/29

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム