CRIMERS
『CRIMERS』
             八城 悠
登場人物
   ♂ 松山(マツヤマ)
   ♂ 竹山(タケヤマ)
   ♀ 梅山(ウメヤマ)

   ♂ 家達 写楽(イエダツ シャラク)
   ♀ 外環(ソトワ)

   ♂ 城戸(キド)
   ♀ 南部(ナンブ)
   ♀ 本場(ホンバ)
   ♂ 前田(マエダ)
              *登場人物名と役どころにも注意。巻末に答えがあります。


NO.1 「誘拐犯の章」
登場人物
     城戸・・・誘拐犯。
     南部・・・誘拐犯。
      娘・・・さらわれた幼い社長令嬢。(外環)
      父・・・娘の父親の社長。(前田)
      母・・・娘の母親。(本場)
     松山・・・警部。
     竹山・・・刑事。
     梅山・・・刑事。

          怪しい音楽。照明『アジト』。
          舞台には抽象椅子(カラーボックス)が2個。
          上手・下手以外に後方中央に出はけ口。        
          薄暗闇の中、一組の男女(城戸・南部)が周囲に如何わしい視線
          を送っている。場所は、とある別荘とでもしておこう。
          設定上、ここには4人の男女がいるのだが、残りの2人は顔を出
          していない。よって、城戸・南部の発言に出る「お前ら」的な表
          現の対象は、観客には見えない残りの2人という訳である。

 城戸 「つまりこういう事か。差出人不明の手紙が舞い込んできて、封を開けてみる
     とこう記されていた。『私は君の犯した罪を知っている』」
 南部 「そしてこの場所と時間が指定されていた」

          沈黙。ため息をつく城戸・南部。

 城戸 「頼むから何か喋ってくれよ。俺達は警察でも何でもない。アンタラと同様、
     呼び出されたんだよ」
 南部 「それともやっぱり差出人って、あなた達なの?」
 城戸 「だーかーらー、首振るんじゃなくて一言『違う』って言ってくれよ」

          沈黙。再びため息。

 城戸 「まあいい。アンタラを信じると、つまりだ・・・何者かが俺達を脅迫しよう
     としてるらしいな。此処に来たって事は、アンタラも後ろ暗い過去を持って
     るんだろ? なら手を組まないか?」

          沈黙。舌打ちして不機嫌になる城戸。

 南部 「じゃあ、話だけでも聞いてちょうだい。私達はね、3週間前のあの―――」
 城戸 「お、おい!」
 南部 「いいの。人間ってのはね、共通の敵を持った時に最も団結する生き物なの」
 城戸 「だけどよ」
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