Go Together
☆ GO TOGETHER
プロローグ
・めぐみ お父さん。あと少しで駅につきます。たった半日列車に乗っただけなの
に、なんだかものすごく遠いところにきてしまったような気がします。私の
心はどこにも行きたくないと叫んでいるのに、体だけがひとりでに前へ進ん
でいくみたいです。お父さん。わかっているつもりでも少し不安です。お父
さんとお母さんが、もうどうにもならないのはよくわかります。生意気だけ
ど、二人が別れることで、両方が幸せになれるなら、仕方がないことなんだ
と良くわかっているつもりです。お父さんが新しい人生をやり直し、お母さ
んが新しい人生を作っていく、そんなとき私の存在がじゃまになるのなら、
それも仕方のないことなのかもしれません。だけど、本当にそれぞれの新し
い人生の中に、私が入る隙間はないのですか。私は、捨てなければならない
古い生活を思い出させるだけの存在なのですか。寮にはいることを相談して
くれたとき、本当はとても寂しかった。悲しかった。でも、もう慣れました。
お父さん。私も新しい人生を見つけますよ。私はいつまでもお父さんの子供
です。お母さんの子供です。でも、私は私だと、自分に言い聞かせていくつ
もりです。私の人生は私が作ります。誰がいちばん幸せになるか、競争する
つもりでがんばります。本当はみんなで一緒に、二人三脚みたいに走って行
きたかったけど、それは仕方のないことですものね。もう言いません。電車
が駅に着いたとき、きっと私の新しい人生の幕が開きます。
◎ 幕が開く。
一
◎ 舞台は女子寮の廊下。一列になって正座している一同。
・ぱち 行ったよ。
◎ と、一同ややリラックス。
・ちさこ あああ、疲れた。足、しびれて死にそう。
・ひろみ あっ、
・ちさこ すいません。きちんと正座してます。もう門限なんて破りません。すご
く反省してます。
・ゆうこ 誰もいないよ。
・ちさこ なあんだ。あああ。
・はるみ 今何時?
・ゆうこ 十時二十四分十六秒。
・ちさこ 一時間十二分か。新記録だわ。
・ぱち まだまだ続きそうだよ。
・ひろみ 頑張ろうね。
・はるみ 私、もう何にも感じない。
・ちさこ ほんと?
◎ と、つっついたりしてさわぎかけたところに足音。はっと姿勢をただす一同。
・めぐみ もういいそうです。
・ちさこ やった!
◎ と、騒ぐ。
・はるみ あんた、誰?
・めぐみ 京葉高校からきました。佐藤恵です。
・ちさこ ひょっとして転校生。
・めぐみ はい。
・ひろみ みんな、転校生だよ。
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