雨と桜の見える場所
─登場人物─
桜………桜利恵(さくらとしえ)
千秋……千秋(ちあき)【女1(おんないち)】……死者。
光………光(ひかり)【女2(おんなに)】……死者。
英理奈…坂上英理奈(さかがみえりな)【女3(おんなさん)】……死者。
礼司……礼司(れいじ)【男1(おとこいち)】……死者。
諒太……諒太(りょうた)【男2(おとこに)、涼太(りょうた)】……死者。
雄介……呉雄介(くれゆうすけ)【男3(おとこさん)】……死者。
舞台上、6人の男女がいる。
明かり、FI。それでもまだ薄暗い。
男1 そこには誰かがいたのかもしれない。
男2 そこには何かがあったのかもしれない。
男3 誰もそれを見ることは出来ない。
男全員 覚えているのはただ雨の音。
女1 春に私はそこにいた。桜が満開の季節だった。窓から見える景色は薄紅色。赤はアクセント。赤は血の色。
女2 夏は窓を開けられない。外から差し込む光は眩しすぎ、太陽を忘れた私たちに夏の香はきつすぎた。
女3 秋、冬。陽が落ちるのが早くなり闇の時間が長くなる。それでも私たちは窓を開けることが出来なかった。
女全員 いつからここにいるのだろう。季節は変わり時は流れず。
男全員 いつまでここにいるのだろう。窓は破れ床は変わらず。
全員 誰かが想ってる。誰かが望んでる。でも誰もが忘れてる。
女1 初めは6人だった。終わりも6人だった。私たちはいつまでも6人だった。永遠に。
全員 永遠に。
1人1人去る。
急にドアを開けて入ってくる人物。
場面、一気に明るくなる。
桜 坂上さん!
桜、辺りを見回す。が、誰もいない。
桜 坂上さん?
桜、しばらくきょろきょろし、ピッチを取り出す。
桜 圏外か……。これだからピッチは。どうしよう……。坂上さん、どこかな……。
桜が迷っていると、後ろから礼司と諒太と千秋が入ってくる。
桜は気付かない。
3人は桜の動きに合わせて隠れ、動く。
突然、
桜 誰っ!
男二人 きゃあ!
間。
桜 だ、誰?
千秋 何であんたたちが悲鳴あげちゃうのよ!私の驚くタイミング逃しちゃったじゃない。
桜 誰よ、あなた。
千秋 あなたこそ、誰?勝手に人んち入ってきて。態度が悪いんじゃない?
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