雨の少年
雨の少年/弓月 玲
登場人物
青年
少年
雨がしとしとと降っている
薄青い冬の夕闇の中
(静かに降る雨の中のバス停に、青年が一人、傘をさして佇んでいる)
青年:「・・・。」
(青年、何をするともなく、時折空を見上げてみたりする)
青年:「・・・。」
(しばらくして、傘もささず雨に濡れながら、少年がひとりやって来て、バス停に並ぶ)
少年:「・・・。」
青年:「・・・。」
(二人とも黙っている。が、青年は雨に濡れている少年が気になるようだ)
青年:「・・・。」
(青年、傘を持つ自分と少年を見比べている)
少年:「・・・。」
(おずおずと青年が声を掛ける)
青年:「あ・・・ねぇ、君、・・・濡れない?」
少年:「・・・。」
(少年が静かに青年を振り返る)
青年:「傘・・・。入る?」
少年:「・・・大丈夫。雨、気持ちいいんだ。」
青年:「え・・・。ああ、でも、まだバス来ないし。ずぶ濡れになるよ?」
少年:「うん。いいんだ。」
青年:「そ・・・そう。」
(青年、少し気まずい)
少年:「・・・。」
青年:「でも、やっぱり風邪ひくといけないし。入らない?」
少年:「ありがとう。でも、本当に大丈夫だから・・・。」
青年:「・・・雨、好きなの?」
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