嘘だけど(恋人編)
『嘘だけど(恋人編)』


【あおり文】

 「嘘を重ねた先に、ほんとの気持ちがある。
  ……たぶん。嘘だけど。」

【あらすじ】
 夜のカフェ。
 三年付き合った恋人同士が、別れ話をしている。
 彼が口にするのは、やたらと多い「──嘘だけど」。
 それは照れ隠しなのか、逃げなのか、それとも優しさなのか。
 「本音」と「嘘」が交錯するうちに、ふたりの関係が少しずつほどけていく。
 最後に残るのは、ほんとの“嘘”か、嘘みたいな“ほんと”か。
 ──“嘘だけど”という言葉に、すべての想いを込めて。


【登場人物】

 彼氏:
  穏やかで優しい性格だが、肝心なときほど素直になれないタイプ。
  “嘘だけど”を口癖のように使うのは、照れ隠しであり、防御でもある。
  冗談めかして距離を取ろうとするが、心の底ではまだ彼女を想っている。
  本音を言うと泣いてしまいそうだから、嘘をまとう。
  嘘でしか愛を言えない、不器用なロマンチスト。

 彼女:
  強がりで現実的。言葉を切るタイミングが鋭く、ツッコミ上手。
  彼氏の“嘘だけど”にいちいち反応しながらも、
  その裏の“本音”を見抜いてしまう繊細さを持つ。
  別れを決めたのは自分なのに、どこかでまだ信じている。
  彼氏の“嘘”が、自分への“愛”であることを。
  笑いながら泣ける、ツンデレのようなリアリスト。


【場面】
  夜。
  カフェのテラス席。
  別れ話の直前。
  静かなピアノBGM(失恋ソングのインスト)が流れている。

彼氏「……今日はさ、ちゃんと話したいと思って」

彼女「うん」

彼氏「付き合って、もう三年だね。
   あっという間だった。楽しいことばかりだった。
   ほんとに……幸せだったよ。──嘘だけど」

    間。

彼女「……は?」

彼氏「いや、嘘。嘘だよ。冗談冗談。
   ほんとは、楽しかった。本当に。嘘だけど」

彼女「どっち!?」

彼氏「ごめん。なんかこう、ちゃんと終わらせたいのに、
1/3

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム