お針子
【お針子】

キャスト
お針子(女)…一人称は私(わたくし)。罪を犯した人に服を仕立てるお針子という仕事をしている。
ソル(男)…エレンの友人。
エレン(男)…ソルの友人。
ミレー(女)…ソルと次第に仲良くなっていく。


舞台はお針子の部屋。
お針子は小さめのショルダーバッグを肩からかけており、
客席の方を向いて正座をしている。

全体照明

お針子、しばらく客席の方を見つめてから立ち上がる。

お針子:今日はここを通る罪人が少ないわ。
    これでは服を仕立てられないし、どうしましょう。

お針子うろうろしているところにソル登場。
ソルは真っ白なTシャツを着ている。

ソル:ここは……?

お針子:どちら様? 私は呼んでいないのだけれど。

ソル:俺は……、誰だ? どうしてここにいるんだ?

お針子:よほどショックなことでもあったのかしら。まぁ、いいわ。
    私はお針子。罪を犯した人のために、地獄で服を仕立てる仕事をしているの。
    まずは服を仕立てるために、自分でそういう人達を見つけて捕まえる。
    それから話を聞いて、その人の罪に合った服を仕立てているわ。

ソル:地獄? ということは僕はもう亡くなっているのか。

お針子:そうね。

ソル:そうですか。

お針子:受け入れられるの?

ソル:何故だか分からないですけれど、どこか安心している自分がいます。
   でも、罪を犯したというのがちょっと引っかかっていまして。

お針子:私が呼んで捕まえていたらね。
    あなたの場合は勝手にここに来たから、どうなのか分からないわ。

ソル:そうなんですね。

お針子:少し良いかしら?

お針子、ショルダーバッグから針を取り出して針越しにソルを見る。

お針子:罪が全く見えない。こんなことは初めて。

ソル:そうなんですか?

お針子:えぇ。大なり小なり人間は何かしら罪を犯しているもの。
    その度合いを見て、服を仕立てる必要があるかどうかを判断することにしているわ。
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