ぼくは目になれない
原案:レオ=レオニ作/谷川俊太郎訳「スイミー」
黒川(くろかわ) 沈黙が苦手。
潮見(うしおみ) 一人が好き。
魚住(うおすみ) エンジョイ勢。
その他
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  開幕。
  黒川が提出するノートをまとめて運んでいる。
男子「あ、黒川!」
黒川「おお、どうしたの?」
男子「いやー、実はさ、急に委員会入っちゃって。今日の掃除、出れないんだわ」
黒川「そう? じゃあ、みんなにも言っとくね」
男子「悪い、サンキューな!」
黒川「おう」
女子「あー! いたー! 黒川ああああ!!」
黒川「な、何があったの?」
女子「聞いてよ実はさー! モトヤンが模造紙持ってきてとか言うんだけど、どこにあるかモトヤンも覚えてないって言うのさ! おかしくない?」
黒川「えっ元ヤン? ……ああ、橋本先生のことか。えっとね、模造紙は三階まで上がって突き当たりを右に曲がったとこにあるから、そこ」
女子「さすがー! ありがとー」
黒川「うん」
先生「いた、黒川」
黒川「はい? あ、先生」
先生「これ、黒川が探してるって言ってた赤本。昨日返却されてたから」
黒川「すみません、わざわざ届けていただいて。ありがとうございます」
  黒川、受け取ろうとして気づく。
先生「……持てる?」
黒川「ちょっと厳しいかもですね」
先生「だよなぁ。(ノートを一冊取り上げて)これ現代文?」
黒川「はい」
先生「えーと、黒川のクラスは誰先生?」
黒川「鈴木先生です」
先生「あっちゃー、今ね鈴木先生出てっちゃった」
黒川「え!」
先生「いいや、机に置いときゃいいでしょ?」
黒川「はい」
先生「代わりに持ってくよ」
黒川「じゃあ頼んでもいいですか? すみません」
先生「赤本持っていきなね」
黒川「ありがとうございます!」
  うきうきで上手にはける黒川。
  箒やモップを持った生徒たちがやってきて、雑談しながら掃除を始める。
黒川「じゃあ、あとは外に出してたテーブルを戻しておしまいか」
女子「黒川、ゴミ捨ては?」
黒川「ゴミ多い?」
女子「んーギリ1日持つかな」
黒川「じゃあ明日やろう。テーブル戻すか」
  テーブルを運び込む生徒たち。
女子「よっし、おしまい! お疲れ〜」
生徒「お疲れ様」
生徒「おつかれい」
  黒川以外は下手にはける。
  入れ替わりで入ってくる潮見。絵本を持っている。
  対峙する黒川と潮見。
潮見「そこ。どいてくんない」
黒川「あっ、ゴメン」
潮見「ウン」
  潮見は席について絵本を読み始める。
黒川「不思議な人だな〜……」
  黒川も下手にはける。
  二人の生徒が入ってくる。
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