煤と、カルビと、それから私。
煤と、カルビと、それから私。
マツザカモモ 社会人
ヒダミノリ 社会人
オウミマキ 社会人
ヨネザワハツキ 社会人
コウベミサ 社会人
タンゴテツヤ 社会人
ミハラシンタ 社会人
ババマイ 店員
オオツキトモ 店員
十月の週末。
焼肉屋「牛々亭」。
焼肉を焼く音。次第に人々の話声が大きくなっていく。
下手側の席にモモとミノリが座っている。
お肉を焼きながら会話をしている。
モモ このカルビもらっていい?
ミノリ うんいいよー。
モモ ありがと~。(カルビをとって自分のお皿へ。)あ、だいぶ煤ついてきたね。網変えてもらおっか。
ミノリ そうだね。私お願いするよ。
モモ ありがと。
ミノリ (スマホを操作して)こっから頼めるのかな。あ~、だめだ網の交換ないや。すいませ~ん。
下手の控室からマイ出てくる。
マイ はい。
ミノリ すいません、だいぶ焦げ付いてきたので網変えてもらってもいいですか?
マイ はい。かしこまりました。少々お待ちください。
ミノリ ありがとうございます。
マイ下手へはけ。
モモ、網からよく焼けたお肉を取ってミノリのお皿へ。
モモ これあげる。店員さん呼んでくれたお礼。
ミノリ わ~、ありがとう。いただきます。
モモ あ、このお肉焦げちゃってるよね?
ミノリ あ~、そうね。だいぶ黒いね。
モモ じゃあ避けちゃおっか。
ミノリ え、もったいなくない?
モモ もったいないけど、これだけ焦げてたらもう食べられないでしょ?
ミノリ う~ん、そうだね。
モモ、焦げた肉を別のお皿に入れる。
ミノリ そういえばモモ、どうしてシンタと付き合うことになったの?
モモ え、急だね。やっぱ気になる?
ミノリ いや、そりゃ気になるでしょ。だって、ねえ?
モモ まあそうか。
ミノリ しかも卒業してからしばらく経ったこのタイミングで。
モモ いや~、まあ話すと長くなるんだけど、簡単に言うと、映画館で運命的な出会いをしたんだよね。
ミノリ え、なんかポケモンみたいだね。
モモ え?
ミノリ いや、なんでもない。え、映画館での運命的な出会いってなに?
モモ いや、なんか先月?残業終わりでめっちゃ疲れてたんだけど、どうしても見たい映画があって。ほら、「黄昏のプリンス」。
ミノリ あ~、「黄昏のプリンス」ね!私も見た!確かにあれはネタバレなしで見た方がいいわ。
モモ でしょ?CMとかでもネタバレ厳禁みたいに言ってたしそりゃ初日に見に行きたくなるじゃん?だから仕事終わりレイトショーで観に行ったの。ほら、そこの映画館。そしたら隣の席にたまたまシンタが座ってて。
ミノリ え~、そんなことあるんだ。
モモ そう、ビックリじゃない?で、「黄昏のプリンス」観た流れでそのままオールで居酒屋行って話したんだけどなんかやけに盛り上がって。で、そのまま付き合うことになったって言うか。
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