闇、明けました
コント
コント『闇、明けました』作:第三字宙 約7分(約2700文字)

登場人物
面接官(黒スーツ、色付きのメガネ。元闇組織幹部、真面目だが時折"怖さ"が滲む)
応募者(スーツ姿。闇バイト経験がある若者)
ボス(白スーツ、優しい口調。元極道、更生したが時折怖い空気が出る)
※この物語はフィクションです。でんぷん以外は扱っておりません。

夕方の薄暗い会議室。面接官と応募者が向かい合っている。面接官、応募書類を見たまま。長い沈黙。

面接官「・・・志望動機」
応募者「はい。すぐにでも働きたくて・・・」

また沈黙。面接官、じっと見つめる。

応募者「(焦って)あの、何か・・・?」
面接官「いや。真面目だなと思って」
応募者「え?」
面接官「最近、志望動機を『書いてください』って言われて、ちゃんと書いてくる人・・・少ないんだ」
応募者「普通じゃないですか!?」
面接官「・・・急いでいるのか」
応募者「はい。実は明日が家賃の支払い期限で・・・」
面接官「そうか(頷く)。じゃあ説明は手短に。前に、こういう仕事をしたことは?」
応募者「実は・・・一度だけ、応募したことがあって」
面接官「どんなところだ?」
応募者「面接がカラオケボックスで、LINEで『今から来い』って・・・怖くて逃げました」

面接官、書類を置く。ゆっくり顔を上げる。

面接官「・・・どこだ」(低い声)
応募者「え?」
面接官「その組織。どこだ」

間。応募者、固まる。

応募者「ひっ・・・」
面接官「・・・冗談だ」(普通のトーンに戻る)
応募者「(安堵のため息)」
面接官「うちはZoom面接も対応している。録画も残す」
応募者「ちゃんと・・・してるんですね・・・」
面接官「ああ。うちの"闇"は・・・少し違う」
応募者「違う・・・?」
面接官「今募集してるのは社員だ。闇『社員』」
応募者「正社員・・・」
面接官「遅刻は、しない方がいい。うちは"時間"に厳しい」
応募者「え、罰則とか・・・」
面接官「いや。始業チャイムが鳴ると自動で勤怠が記録されるだけだ」
応募者「・・・普通じゃないですか」
面接官「最近、みんなそう言う・・・」

突然、ドアが開く。ノックなし。ボス、蛍光灯の箱を持って入ってくる。

ボス「持ってきたぞ・・・おっ?」
面接官「ボス!」
ボス「これ、代えの蛍光灯。(と、面接官に渡す)面接前に新品に取り替えたかったんだけど、すまないね。暗くて」
応募者「あ、いえ・・・」

面接官、椅子に乗って蛍光灯を替える。パッと明るくなる。

ボス「(応募者に)来てくれてありがとう。最近、来てくれる人が少なくてね」
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