ダンス教室 最後の儀式
コント
コント『ダンス教室 最後の儀式』作:第三字宙 約5分(約文字)

登場人物:
田中先生(35歳・女性):ダンス教室の教祖。常に真顔で厳粛。ダンサーネームは「グルーヴ導師タナカ」
美咲(高3・女性):脱会希望の信者。ダンサーネームは「リズム・ミサキ」
ユカリ(高3・女性):徐々にトランス状態になる信者。ダンサーネームは「ステップ・ユニヴァース」

3月最終週、ダンス教室のスタジオ。田中先生が祭壇(鏡の前)で厳粛に準備している。

田中先生「グルーヴ導師タナカより、魂の律動を授けます」
ユカリ「ステップ・ユニヴァース、準備完了です」
美咲「・・・リズム・ミサキです」
田中先生「声が小さい」
美咲「リズム・ミサキです・・・」

照明切り替わって。

美咲「(観客に)5年間、ただ踊ってるだけだと思ってた。でも違った。ここ、踊りながら洗脳される場所だったんだ・・・!」
田中先生「リズム・ミサキ、誰と話している?」
美咲「す、すいません!」
田中先生「今日は"魂の昇格儀式"です」
美咲「あの・・・普通に卒業じゃダメですか?」
ユカリ「"卒業"は世俗の言葉だよ、リズム・ミサキ」
田中先生「今日からあなたたちは"ソウル階級"へ昇格する。さあ、祭壇に立ちなさい。5・6・7・8」

音楽が流れる。踊り始める3人。美咲が少しミスをする。

田中先生「今の。もう一回いこう」
ユカリ「グルーヴ導師、今のは"律動の乱れ"です」
田中先生「そうね。リズム・ミサキ、0.5秒遅れたのは煩悩のせい」
美咲「煩悩!?」
ユカリ「"肩の力み"は怒、"軸のブレ"は迷。教典に書いてあります」
美咲「教典って誰が・・・」
田中先生「私よ」
美咲「先生が!?」
田中先生「煩悩を振り払いなさい。もう一回。5・6・7・8」
美咲「あの、その律動名で呼ばないでもらえますか」
田中先生「それはあなたの魂の周波数。変えられない」
美咲「周波数って何!?」

田中先生、突然動きを止めて手帳を取り出す。

田中先生「リズム・ミサキ、2分35秒、"魂の化石"が残っている」
美咲「魂の化石!?」
ユカリ「(自分のノートを見て)あ、本当だ。私もメモしてました」
美咲「ユカリまで測ってたの!?」
ユカリ「当然です。3年前の春、彼女の左足が0.2秒早く着地した日から、魂が傾いてます」
田中先生「3年前の春・・・よく見ているわね、ステップ・ユニヴァース」
ユカリ「はい。全部記録してます」
美咲「日付まで!?3年前掘るな!!」
田中先生「過去の動きは未来の振付。すべてつながっている」
美咲「つながってない!!もう・・・最後に一言だけ言わせてください」
田中先生「"舞踏告白"ね」

照明が落ち、美咲にスポットライト。

美咲「5年間、本当に・・・ありがとうご・・・」

その瞬間、田中先生とユカリ、無意識に動き始める。

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