名探偵が、いる!
名探偵が、いる!

探偵A…ホームズのような洋風の探偵。
探偵B…金田一耕助のような和風の探偵。頭をがりがりかく癖がある。
被疑者…洋館で一人残った人物。



🈩謎解きの始まり


舞台中央椅子に座った被疑者。その横に机が二つ。向き合うように下手側にも机が二つ。
舞台がだんだん明るくなるにつれて上手から探偵Aがセリフを言いながら登場する。おびえた様子の被疑者は探偵Aの歩みを目で追う。探偵Aはセリフが言い終わるとき舞台中央あたりで立ち止まる。

探偵A さて――。お集まりいただきありがとうございます。これからこの洋館で起きた連続殺人事件についてお話ししましょう。すべては、あるどす黒い思惑が引き起こしたのです。

      探偵Aの言葉につづくようにして探偵Bが下手から登場。探偵Aのようにもったいつけて歩く。被疑者は探偵Bが登場するとびくっとそちらを向き、歩みを目で追う。

探偵B (あたまをがりがり掻きながら)そう、思惑が複雑に絡み合う何とも奇妙事件でした。しかし、一つ一つ紐解いていけば、そこに残る真実は一つです。
探偵A・B そう、犯人は――。

      探偵A・B、同時に客席に向かって指をさす。セリフの途中からA・B顔を合わせる。

探偵A 失礼。ええっと、なんですか?あなたは。
探偵B それはこっちのセリフですよ。人が気持ちよく謎解きしようってときに。
探偵A 謎解き! するとあなたは。
探偵B どうも。…名探偵、です。
探偵A 自分で言うかね普通。
探偵B どうやらそちらも…?
探偵A コンサルティング・ディティクティブ、つまるところ探…(探偵Bを見てから咳払い)名探偵です。
探偵B そうでしたか。では、犯人は――。(客席に向かって手を振り上げて指をさそうとする)
探偵A (探偵Bを制する)待ちたまえ!
探偵B なんです。
探偵A 君ねえ、図々しいとは思わないのかい。
探偵B 何がです。
探偵A まず、謎解きを始めたのはこの私だ。それに皆を食堂に集めたのも私。つまり謎解きを披露する権利は

      探偵B、探偵Aのセリフの途中から無言でまた手を振り上げて指を指そうとする。

探偵A (制する。)わかんない人だな~~~君も!

      探偵B、あからさまに苛立たしげな顔

探偵A なんだその顔は。だいたいみんな集めて『――さて、』から話し始めた人のセリフさえぎって勝手に犯人いうかね普通⁉
探偵B めんどくさいこと全部やってくれて、ありがとうございます
探偵A きみのためにしたんじゃあない!
被疑者 (椅子からたちあがる)あの!

      探偵A・B、被疑者を見る

被疑者 あの…お二人とも、探偵さん、なんですよね。
探偵B お気軽に、名探偵さん、と呼んでもいいですよ。
被疑者 …他の人、みんな、殺されちゃいましたよね。
探偵A ああ、初めに十五人もいたのがウソのようだね。
被疑者 外部犯って可能性は…。
探偵B ここはどこでしょう。
被疑者 えっ・・・? 絶海の、孤島?
探偵A の?
被疑者 ええっ…? 山奥の、洋館?
探偵B 外の天気は?
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