AI執筆会談
AI執筆会談

暗闇のなか、宇宙を感じさせる音楽
ナレーションが入る。

「太古の昔…演劇は、儀式として存在した…時代とともにその形は変化し続け…代わり行く世界の情勢に合わせ…政治的に…または文化…サブカルチャー…娯楽として、その在り方を変えてきた…されど、変わらないものがあった…それは、演劇は人が作るものということであった…しかし…近代…その常識が大きく覆されようとしてる…それは、AIの存在である…」

と、蛍光灯の灯りがつく。シュージがCDプレイヤーを止めると、BGMが止まる。

それを会議室の机に座って聞いてる、ユキコ、ヒデ、リサ。

シュージ「てなわけで、今日のテーマは、ズバリ!劇作家がAIを使って執筆することについて!です!」
ユキコ「その演出いらなくない?」
シュージ「劇作家っていうのは常に"魅せる"事を普段から考えてかなきゃならないですからね!」
ユキコ「にしては雑じゃない?」
シュージ「良いんです。これはね、洗練という杓子定規にこだわって新しいものを発見できなくなった現代作家の病に対するアンチテーゼですよ。未熟なものにこそ真実が宿るのです?聞いたことないですか?」
リサ「言い方で誤魔化すのが劇作家らしいですね」
シュージ「言い方は大切ですよ。むしろ言い方が全てです。言い方 is all。テストに出ますよ、ここ。」
ヒデ「本題に入ろうか。俺たちも暇じゃないんだよね。稽古抜け出して来てるんだからさ。」
シュージ「これは失敬…。じゃ、本題に入ります。じゃん!」

ホワイトボードをひっくり返す

【AIにおける脚本執筆について】

シュージ「AIにおける脚本執筆に、ついて!」
ユキコ「読んだだけじゃん」
シュージ「えー、ワタクシ、高校演劇の審査員をやっていることは皆さん周知の事実だと思います。…拍手は?」

3人、適当な拍手

シュージ「適当な拍手ありがとうございます。ここ数年、ChatGPT初め、様々なAIが台頭して参りました。新しい技術に世の中は沸き立ち、また楽観論者と火花を散らすように保守的な意見も飛び交い、日々は激流のように進歩しているのであります。で!ここ最近のワタクシが強く感じているところは、作家が、AIを使って!執筆をしているというパターンが非常〜〜〜に増えてきたというところです!そこで皆さんにお聞きしたい!この状況を劇作家の皆さんはどう捉えているのか!良し悪しではなく、1視点として議論したい!そう思い、集まって頂いた次第です!とりあえずわかりやすくするために、席を移動しましょう…こちら、賛成、こちら、中立、こちら、反対席替え開始ッ!」

3人、だらだらと移動
リサが賛成、ユキコが反対、ヒデが中立


シュージ「良いですねぇ〜〜割れましたねぇ〜〜〜」
ユキコ「ほんとここ最近のそれムカついててさ。」
シュージ「おっ、聞かせてくださいその想い!」
ユキコ「うちんとこの劇団でもそれ使ってる奴いてさ…大喧嘩になってさ、いや、演劇って人の想いを伝えるもんだろ?魂っていうかさ…その魂の部分を機械に受け渡すとか…バカじゃね?!ってさ。」
リサ「ユキコは使ったの?」
ユキコ「使わねぇよそんなもん…悪魔の道具でしょ。そんなもん使ってまで演劇なんてやりたくないね。」
リサ「ふーん」
ユキコ「なによ」
リサ「使わないまま否定するって、見てない芝居の悪口言うみたいね」
ユキコ「なに、喧嘩売ってるの」
シュージ「喧嘩じゃないですよー!対話です!全て私達は対話により理解を進めるのです!皆さんそれは演劇から学んだものですよね!ね!?座って座ってどうどうひひーん」
ユキコ「馬じゃねぇし…」
ヒデ「まぁ、使わねぇで否定ってのは確かにおかしいよな。」
ユキコ「いいや使わなくてもわかる今までのやり方を否定して、先人たちに失礼って感覚のないお前らがよく芝居なんて出来るなって思うわ。」
リサ「先人達は常に改革と進化に心を尽くしてきたわ。先人たちの想いに背いてるのは誰かしら?」
ユキコ「なんだって!」
シュージ「こら!おすわり!」
ユキコ「(咄嗟に座り)ワン。…犬じゃねぇし!」
ヒデ「リサんとこ、早めに導入してるよな。」
リサ「ええ、面白いわよ」
ユキコ「だからお前の芝居は魂がねぇんだよ…」
ヒデ「全部書かせてんの?」
リサ「ううん。ケースバイケース。例えばプロットを組んで、それを読ませて構造を確認したり。全体を荒執筆して、客観的意見を求めたり。簡単なとこだと、誤字脱字、日本語の間違いとかを聞いたりするわね。」
1/3

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム