幕末黎明記
幕 末 黎 明 記
キャスト
新川菊之助(会津藩士 23歳)

武藤市左右衛門(会津藩士 25歳)

お加代(会津藩女中・女子軍 22歳)

竹次郎(会津藩士の次男坊 14歳)

恩許(元・浮浪児の女・・・18歳くらい)


壱場 1867年12月
菊之助,竹次郎に稽古をつけている。

竹次郎 「やーああ!」

竹次郎必死で打ち込むが,菊之助は軽く受け止める。

竹次郎 「はあ,はあ・・・」
菊之助 「どうした。そんなモンで終わりか?」
竹次郎 「まだまだ!やーああ!」

菊之助,ひょいとよける。そんな稽古がしばらく展開される。やがて,竹次郎はドテッと転ぶ。

菊之助 「ははは!まだまだだな。青二才め。」
竹次郎 「くそ・・・。痛い(泣)」
菊之助 「そんなんじゃあ,まだまだ俺には勝てないな。」
竹次郎 「あーあ。今日こそはなんか,いけるような気がしたんだけどなぁ・・・。」

菊之助の背後から男が忍び寄る。武藤。武藤は持っていた書物で菊之助の後頭部を一撃する。

武藤  「スキありっ!」
竹次郎 「わっ!」
菊之助 「痛てーっ!」
武藤  「あいかわらず後ろはスキだらけだな。菊之助。」
菊之助 「武藤さん・・・」
武藤  「そんなんじゃ,せいぜい勝てるのは竹次郎くらいだな。」
菊之助 「そりゃあないよ。俺だって・・・」
お加代 「スキありーっ!」
菊之助 「うわーっ!」

 お加代,木刀を手に登場。菊之助,すんでのところでよける。が,派手にコケる。

竹次郎 「大丈夫ですか!菊之助さん!!」

菊之助,のっそりと起きあがる。

菊之助 「・・・死んだかと思った・・・光に包まれた河原で6文銭を握っている自分がいた・・・。」
お加代 「ふう。おしい。」
菊之助 「『惜しい』じゃない!何だよ!このじゃじゃ馬!」
お加代 「不意打ちの一本も軽くかわせないでなにいってるんですか。」
菊之助 「うるせえよ。女のくせにそんなもん振り回してんじゃねーよ!」
お加代 「何を言います。上方ではやれ攘夷だ倒幕だともめているんですよ?この会津にもいつ火の粉が降ってくるやもわからないんですから。このご時世,女も武器を使えなくては。」
竹次郎 「いつのまにか菊之助さんよりも強くなってません?」
お加代 「そう?」
菊之助 「だから,いつまでたっても嫁のもらい手がないんだ。」
お加代 「私より腕の立たない男ならいりません。」
菊之助 「じゃじゃ馬だから男がよりつかないだけ・・・」
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