ゲキショ-劇中死体処理班H級-
ゲキショ―劇中死体処理班H級― 嵐山風嵐
Happy
遠藤伊代莉(えんどういより)22歳。処理班の新人。新卒。ゲキショには流しに流され配属された。仕事にひたむきに頑張るいい子だが、「死」に対してある思いを持っている。
Home
山形柊吾(やまがたしゅうご)25歳。羽地と仲が良く、慕っている。まじめで堅実なタイプだが、秘めた過去を持っている。
Hard
羽地佑(はねじたすく) 53歳。H地区の班長。長年勤務している。山形にははねじいと呼ばれているが、まだおじさんではないと思っている。年齢の割に無理をしがち。
Haken
佐田輝友(さだてるとも) 24歳。派遣会社からやってきた。何でも屋。さだっちと呼ばれたい。モップを常に持ち歩いている。愛称は「もっちゃん」。「っす」が語尾。
Help!
愛那(あいな) 劇団星火の一員。公演「燃ゆる花弁」でフロレンティア役を担当してる。「燃ゆる花弁」には火を放たれた館の中でフロレンティアが最期を迎える描写がある。
※佐田は女性が演じる場合は佐田輝葉(さだてるは)とする。
暗転の状態で、時代劇の殺陣シーンのBGMが流れ始める。刀のぶつかる音や斬られる音、斬られ役の呻きなどが入りながら、しだいに弱くなっていく。
徐々に明転。山形、佐田が死体処理をしている。山形、死体が入っているであろう黒い袋を肩に担ぎ、運んでいる。佐田、モップで床を拭いている。
山形 運ぶものはこれで最後?
佐田 そっすね。いや、今回まじで多くなかったすか。
山形 まあ、時代劇だからな…にしても死にすぎだけど。
佐田 それに、ちょっと安っぽくなかったすか。
山形 な。それは思った。
佐田 そっすよね?素人目でもわかったすもん。
山形 ヤクシャの目線、斬られた後の動き、あとは、小道具かな。もっとこだわれるとこあったと思う。
佐田 おお…そんなとこまで見てたんすか。
山形 現場いるとね。目は肥えるよ。
佐田 俺なんてすげーくらいにしか思ってなかったのに。まじそんけーっす。
山形 まあね。でも、ヤクシャにはその感想も届かないからな。
佐田 空から聞いてるかもっすよ。
山形 うわ、それはいやだな。満足して死んでいってるだろうに。
佐田 あでも、殺陣のシーンかっこよかったっすね。ズバァッって感じで。
佐田、モップを刀のように振る。
山形 佐田君は元気だね、羨ましいよ。
佐田 いやでも、明日は筋肉痛確定っすね。
山形 派遣の仕事でもキツイほうじゃない?ゲキショは。
佐田 いやーぶっちゃけそうなんすけど、ここで弱音吐いてるとウチの取り柄の「何でも屋」ってのを裏切ることになっちゃうんで。全然余裕っす。
山形 そっか。頼もしいな。
佐田 あざっす。
山形 ほかには?どんなとこ行ってたの?
佐田 そんな数は多くないんすけど、前は劇団キシキシの大道具運んでたっす。
山形 劇団キシキシ!あそこの大道具はすごいって聞くよ。
佐田 人もいっぱいいたっす。
山形 そうだよね…それに比べてうちは、少なすぎだよ。
佐田 …あれ、ってことは俺いないときはこれ一人でやってたんすか?
山形 そうだよ。はねじいはもう歳だからさ。50過ぎてもキツめの肉体労働しようとするし。さすがに止めたよね。
佐田 山形サンって班長と仲いいっすよね。山形サン25歳だから…まだゲキショ来て3、4年目っすよね?なんかコツとかあるんすか?
山形 もとから話が合う人だっただけだよ。
佐田 ほんとっすか?なんか親父と息子みたいな関係に見えるときもあるっすよ。
山形 気のせいだよ。
佐田 ふーん…ま、俺ももっちゃんとはそのくらい仲いいすけどね~
佐田、モップを愛でていると、山形のスマホに着信がくる。
山形 はい、もしもし。はい、死体の運搬は完了しました。はい。ではあの、報酬の件なのですが、…はぁ?いや、ちょっと待ってください、ちょっと、ちょ
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