作家助手の事件手帳
   高森の家。
   高森、机の上で原稿用紙に埋もれるように寝ている。
   藤崎、入ってくる。

藤崎 高森先生!おはようございま……。

   藤崎、高森に気づく。

藤崎 って、先生?

   藤崎、高森を起こそうと試みる。

藤崎 先生、朝ですよー。起きてください。

   高森、起きない。
   藤崎、自分の上着を高森にかける。

藤崎 もう……しょうがない人ですね……。

   藤崎、原稿をまとめ、机の脇に置く。
   高森はまだ起きない。

藤崎 でも、先生が寝落ちなんて珍しいかも……。

   藤崎、まとめた原稿をぱらぱらと読む。

藤崎 ……新作?って、この前の事件だ。あっ、私も出てる!

   藤崎、原稿を読む。
   戸を叩く音。
   藤崎、原稿を置く。

藤崎 はーい、ただ今。

   藤崎、戸を開ける。

長束 こんにちは。ここは大宮さんのお宅で合ってますか?

   高森、声に反応して起きる。

藤崎 え?いえ、ここは高森先生のおうちですけど……。
長束 ええ、高森さくらさん。本名は大宮渉さん、ですよね。
藤崎 ……あの、どちら様ですか?
長束 これは失礼。俺は……。
高森 どうしてあなたがここに?
藤崎 先生。
高森 藤崎君、すまないが君は少し奥に行っててくれないか?
長束 いいじゃないか。仲間はずれは可哀想だ。
高森 彼女に悪い虫がつかないかと気がかりなんですよ。
長束 それはまさか俺のことかな?
高森 あなた以外に誰がいるんですか?
長束 ひどい言いようだ。それにしても、こんなに可愛い子を傍に置くなんて、お前も隅に置けないな。
高森 用件は何ですか。
長束 そんなに不審がらなくてもいいじゃないか。
高森 不審にも思いますよ。
長束 このまま立ち話も何だから、中に上げてくれないか?ここは俺の家でもあるだろう?
高森 ……どうぞ。藤崎君、不本意だが客人にお茶を出してくれ。
藤崎 わかりました。

   三人、中に入る。
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