あなたを
江津(えづ) 男。探偵。
 増山(ますやま) 男。探偵の助手。
 和子(かずこ) 女。江津の給仕。僕っ娘概念。女子高生。峰子の級友。
 峰子(みねこ) 女。和子の級友。運動部。
 
 校長  性別不問。
 部員  女子。
 由美 女。和服。江津の姪。
 杏実 女。メイド服。由美の友人。
 
 シーン⑴ 事務所
  スポット。
  増山が入ってくる。大きなリュックに、傘をたたみながら事務所へおそるおそる入る。
 扉の音がやけに大きく響く。怯える増山。
 全体照明。
 まさに探偵事務所のような部屋。一人用のソファが机を挟み二個、それらと垂直に大きな机と椅子が一組。 
 おそるおそるまた顔を出す増山。
 
 増山  あの・・・誰かいますか、
 和子  (舞台袖から)あーーっ、お客さん⁉
 増山  のわああっ⁉
 
 和子登場。
 
 和子  江津さんはいまいないよ!でもたぶんすぐ戻ってくると思う・・・。
 増山  あ、あなたは?
 和子  お客さん、なんだいその大きな荷物は?旅行にでも行くのかい?
 増山  あ、これは・・・・。
 和子  まあ座ってくださいよお!こっちも話し相手がいなくってつまんなかったんだよ、そうだ、お茶お茶!お茶用意してるから荷物降ろして傘立てここにないから傘も置いてそこのソファで待ってて!
 増山  あ、そ、ソファ・・・。
 和子  それよりもその荷物!どうしてそんな大きな荷物もってこんなところへ?こんな探偵事務所に来る奴なんて大抵が困ってるやつかラリってるやつかどうしようもない奴のどれかなんだよね、お客さんあんたはどれ?
 増山  いや、僕あ違くて・・・。
 和子  というかあんた大学生かい?社会人かい?見るからにおっとな~!な作りして、そんなこんなでおいらと同い年だったりなんてしたら笑えないよ!おいおい聞いてる?
 増山  あえっと・・・。
 和子  ん?あんたどっかで・・・。
 
  突如響く沸騰を知らせる音。
 
 和子  あっ!沸かしたまんまなのわすれてた!あんた、名前とかは・・・、
 
  追い打ちをかけるように響く音。プシュー。
 
 和子  ~~~ん~!ちぇ!しょーがないなあ話したいのに!ソファに座っててお客さん!緑茶?紅茶?麦茶?というかさあんたどっかで・・、
 
  プシュー。
 
 和子  はいはい!んもー!
 増山  ・・・・・。
 
  増山、一人になる。
  かなりの時間をかけて、逡巡し、ソファの横に荷物と傘を下ろし、地図をきれいに折りたたんでしまい、きょろきょろとあたりを見渡し、同じ動作をしてからやっと、ゆっくりと腰を下ろす。
 
 和子  お待たせしました~!紅茶でーす。じゃあ話の続きを・・・。
 
  突如鳴る電話のベル。ジリリ。
 
 和子  (負けじと)続きを・・・。
 
  ジリリ。
 
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