黄昏夢物語
 子供の笑い声が聞こえる。
 笑い声は徐々に消え、代わりに波の音が聞こえる。
 舞台中央の階段は神社のもの。
 左右に屋台がある。
 階段で千代が寝ている。
 ゆう、歌いながら出てくる。

ゆう 通りゃんせ、通りゃんせ、後ろの正面だあれ…かーごめ、かごめ、こーこはどーこの細道じゃ…通りゃんせ、通りゃんせ…。

 ゆう、歌いながら歩き回る。
 ゆう、千代を見つける。

ゆう 後ろの正面だあれ…。

 ゆう、千代を揺さぶるが、起きない。
 ゆう、どこかから鍋の蓋を二枚持ってきて鳴らす。
 千代、それでも起きない。

ゆう えぇー…嘘でしょぉ…。

 ゆう、諦めて千代の隣に座る。

ゆう お姉さーん、もしもーし。風邪ひいちゃうよー? …困っちゃったなぁ。

 ゆう、立ち上がってどこかに行く。
 千代、起きて辺りを見回す。

千代 …あれ。

 ゆう、毛布を持って戻ってくる。

ゆう あ、起きた?
千代 誰?
ゆう じゃ、お布団はいらないね。

 ゆう、戻ろうとする。
 千代、ゆうを止める。

千代 ちょっ、ちょっと待って!
ゆう なあに?
千代 ここはどこ? あなたは、誰?
ゆう お姉さん、迷子?
千代 そう、みたい。
ゆう 気持ちよさそうに寝てたのに?
千代 そんなに?
ゆう 全然起きなかったよ。
千代 嘘でしょ。
ゆう 本当だよ。
千代 信じられない。
ゆう あれ、鳴らしたのに。
千代 …お鍋の蓋?
ゆう ガッシャーンって。耳元で。
千代 …嘘でしょ。
ゆう どうして嘘つくの?
千代 それも、そうだよね…。
ゆう じゃあボク、お布団戻してくるね。

 ゆう、千代に止められる。

千代 待って待って待って! 待って!
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