演劇の終焉
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【舞台幕前。スポットライトが中央を照らす。】
・黒子が登場。場所の札を捲る。「御挨拶」
・青柳が登場。観客に向かって、一礼。
青柳 皆様!本日は、劇団ルナ・エトワールの公演に御来場頂きまして、誠に有難う御座います!私、本劇団の主宰、青柳美愛です!宜しく御願い致します!(一礼し、顔を上げて、拍手が大きくないことに首を傾げながら、拍手を誘発するように手を叩く。拍手が大きくなったら、満足気に頷き、偉そうに鳴り止ませる。)さて…皆様、演劇は好きですか?私は勿論大好きです!えーと…どこが好きかって言われると…言語化…難しいな…うーん…あ、でも、
・凍矢、登場。青柳を見つけ、小走りで近づく。
凍矢 (青柳を小突く。)愚鈍な奴だな。そろそろ始まるぞ。
青柳 お、丁度良い所に!彼は〜、私の頼れる右腕、副部長の
凍矢 良いからさっさと持ち場に着け!お前が居ないと始まらないだろうが!
青柳 え〜
凍矢 返事は。
青柳 弓弦が私のことをそんな風に思ってくれて嬉しい。
凍矢 (舌打ち。)
青柳 ごめん。
凍矢 …それじゃあ、頼んだぞ。
・凍矢、退場。
青柳 はーい。(観客に向かい、照れ笑い。咳払い。)…と言う訳で、もう間も無く、開演致します。皆様、どうか、素晴らしい一時をお過ごし下さい。
・青柳、退場。
【開演。】
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・黒子が登場。場所の札を捲る。「2030年春公演『コップいっぱいの絆』」
*
五月女 “烏 玖郎”役。天才プログラマー。引っ込み思案。
小佐野 “毛利 ベロニカ”役。烏の恋人。巻き込まれ体質。
牧 “牛飼 猟”役。烏の相棒。ガキっぽい。
玉川 “大熊 歩”役。烏の元宿敵で、仲間になった。冷静。
江沢 “獅子岡 瓜子”役。大熊の恋人。ツンデレ。
凍矢 “天海 蛇十郎”役。烏の実父で、ラスボス。財界の大物。
*
【照明転換。幕が開く。(中幕は閉まったまま。)エンディング。】
・凍矢以外の5人、舞台上に。小佐野を囲んで喜びを分かち合う。
小佐野 「皆…!今日は、本当に、ありがとう…
五月女 「ど、どういたしまして。
牧 「気にすんなって。俺達、友達だろ。
江沢 「わ、私は歩に言われて仕方なく手伝っただけなんだからね…!
玉川 「ありがとうね、瓜ちゃん。
江沢 「え、えへへ…
牧 「やーい、照れてらぁ。
江沢 「う、うるっさいわねぇ!
五月女 「まぁまぁ落ち着いて…
・凍矢、拍手をしながら登場。
凍矢 「いや、実に見事だったよ。
五月女 「あ…
牧 「おっさん…
凍矢 「私はおっさんではない。
小佐野 「あ、あの…私、
凍矢 「気にするな。約束通り、此度の件は水に流そう。
牧 「よし!
凍矢 「今後は、陰ながら君達の活躍を願うことにするよ。
小佐野 「えっ…
玉川 「それは、本心ですか?ラスボスさん。
凍矢 「私はラスボスさんではない。
玉川 「それはそれは。失礼いたしました。天海蛇十郎殿。
凍矢 「む…(咳払い、)兎に角、君達もだ。以降、今回の件を蒸し返すことは控えて頂きたい。目に余るようなことがあれば…分かるな?
五月女 「あの
凍矢 「話は以上だ。それでは
小佐野 「あ
江沢 「ちょっと!
凍矢 「(驚いて、足を止め、振り返る。)
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