光秀よ、永遠に
■主な登場人物
 名取周三…丸美の兄。ケンカっぱやい。ガキっぽい。中学3年生。学ランよりかは、カーディガンを腰に巻いている。
 名取丸美…周三の妹。天然ぽい。けれど意外としっかりしている。中学1年生。セーラー服に似ている上着に、髪は丸いフォルム。
 ザト博士…周三、丸美の家の近所に住んでいる謎の博士。本名不明。黒マスクに左目の眼帯、黒の短髪。
 先生………丸美の学年の歴史担当。首には名札がぶら下がっている。
 織田信長…戦国時代きっての偉大な武将。本能寺の変にて、明智光秀に討たれる。
 森蘭丸……織田信長の小姓。森家の次男。髪は後ろでポニーテール。
 明智光秀…織田信長の家臣。本能寺の変の首謀者。髪は横も縦も長い。
 ■参考文献
 『信長協奏曲』
 『ねこねこ日本史』
 『13才の君と「戦」の話をしよう』
 ■演出記述
 『』は声だけのシチュエーションです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 光秀よ、永遠に
 
 
 
 
 
 
 ●プロローグ
  オープニング曲とともに、幕が開く。開きながら、周三は語る。
 
 周三 『何度も見る夢がある。
     炎の中に、俺は立っている。ここがどこなのか、俺はいままでなにをしていたのか、その人が誰なのか、俺にはわからない。誰かが俺に、何かを訴えかけている。その人の名前も顔も、俺にはその内容だって…なにもわかりやしない。
     けれども、と思う。俺はここを知っている。俺はその人を知っている。いや、知っていなくてはならないのだ。
     朝起きると、毎回俺は強く思う。“俺は何かをしなければならない”。けれどいつだって、俺はその内容がわからない。わかりたいと思う。けれど思い出せない。
     覚えているのは、そういう決意だけ。
     そう思って、俺はいつも朝を迎える』

 ●研究所

 丸美 「…それに、今日から6月に入ったんですし!、だから私の宿題のために、ザト博士のタイムマシンを貸してくださいっ!」

  汚らしい、物が散らかった長机と、たくさんのものが集まった研究所。
  上手と下手で舞台を分ける。下手に照明。
  ザトはその前に立っている。ビーカーを振っている。
  逆に丸美は、そのザトに向かい合うように立っている。丸美のうしろには、来客用の椅子。
  丸美の手には、歴史の教科書。

ザト 「そうかァ、今日からキミたちは文化祭の振替連休で、三連休か。いいねェ、若者の特権だ」
丸美 「えへへ!もう、ザト博士だってまだ三十路でしょ?まだ全然若いじゃないですか!
     …じゃなくて!タイムマシンを…貸してほしくてですね……」
ザト 「フッフッフ。他ならぬ丸美クンの頼みだしね。今回は特別だよ?」
丸美 「……やったあ!ありがとうございますぅ!」
ザト 「でもその前に、かな」
丸美 「へ?」
ザト 「………」

  ザトが無言で、丸美に隠れて後ろに座っていた周三を指さす。
  
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