クリスマスEXPRESS
『クリスマスEXPRESS』
作：結城翼）
☆登場人物
★登場人物）
新城 … 営業マン。横領・逃亡。合理的で醒めているが、どこか壊れかけている。
小泉 … ダウジング男。水道局員。子供のころの記憶に囚われ、UFOを信じている。
ケンジ … サラ金業者。新城の旧友。デタラメで、だが人間臭い。
西崎 … 刑事。由紀子の父。仕事人間で家庭を失った。
みどり … ケンジの恋人。かつて新城の恋人。情念と未練に揺れる。
由紀子 … 女子高生。西崎の娘。新城に惹かれるが、危うい。
ヒロコ … ハイウェイカフェのウェイトレス。幻想的な存在。実は「しずか」に重なる。
タツヤ … ケナフ運動の青年。ファジーな空気を漂わせる狂言回し。
☆Ⅰプロローグ
暗転。舞台全体に鐘の音がごく微かに響く。やがてクリスマスキャロル がインストゥルメンタルで流れはじめる。）
ナレーション（または字幕）「いつか昔の、クリスマスイブの夜。」
雪が舞い、校庭の影が浮かぶ。子供の声。）
子供たち （４人の影。椅子に乗って、必死に両手を掲げ）「UFOこい！UFOこい！」
だが何も現れない。やがて一人が椅子を降り、去っていく。残された三 人はなおも声を合わせる。）
――突然、地鳴りのような音。まばゆい光。音楽が膨れ上がり、暗転。
音楽は続き、照明が変わる。現代の光景。クリスマスイブの夜。
☆Ⅱ クリスマスイブ
ナレーション（または字幕） 「現在。クリスマスイブの夜。」
（ 高速道路のパーキングエリア。
車の走行音。ヘッドライトがサーチし、舞台を照らしては消える。
舞台奥にはフェンス、手前には壊れかけた椅子とテーブル。
脇には人が隠れるほどの黒いゴミ袋の山。）
タツヤが掃除をしている。やがてヒロコがケナフの苗を抱えて出てく る。
ヒロコ （ぐらっとなりながら）ちょっと！手伝ってよ！
タツヤ、慌てて支え、一緒にフェンス脇に置く。
ヒロコ ここでいい？
タツヤ ……こ、ここ。
ヒロコ ふぅ……。たいがいにしてよね。こんなものばっかり増やして。
タツヤ しょ、小人は、ど、度し難いね……。
ヒロコ 人に迷惑かけといて言うセリフ？
タツヤ ケナフは、きゅ、きゅ……
ヒロコ はい、深呼吸して。
タツヤ （息を吸ってから吐き出し）……救世主だよ。
ヒロコ はいはい。
タツヤ ち、地球の……。
ヒロコ そうそう、“ケナフは地球を救う”っと。
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