開かずの踏切
「開かずの踏切」 作・東 詩依
【登場人物】
男1
女1
○踏切(夜)
遮断機が下りた踏切の前で、男1が待っている。
少し経ち、キャリーケースを持った女1がやって来て、男1の隣で待つ。
女1はたびたび腕時計に目を通しては、早く踏切が開かないかそわそわしている。
しばらく経ち。
女1 (男1に)あの。
男1 (不意に声をかけられて驚きつつ)何か……?
女1 どのくらいかかります?
男1 かかる……?
女1 開くまでです。
男1 あぁ……。
女1 もうけっこう待ったと思うんですけど。
男1 私もです。
女1 でしょう? ということはそろそろ開くのかしら……。
男1 いやぁどうでしょう、何せ有名ですからね。
女1 有名? 何が有名なんです?
男1 ここ、開かずの踏切なんです。
少し間。
女1 開かずの……。
男1 そう。
女1 話には聞いたことありましたけど……。
男1 ここがそうだとは思いませんでした?
女1 えぇ……。
少し間。
男1 お急ぎですか?
女1 え? えぇ、まぁ……。駅に行きたくて。
男1 駅。
女1 ここを渡ればすぐなんです。
男1 そうなんですね。
少し間。
女1 どのくらい有名なんでしょうか。
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